99年後に誕生する予定のネコ型ロボット「ドラえもん」。
この「ドラえもん」が優れた技術で作られていても、生物として認められることはありません。
それはなぜですか。理由を答えなさい。

(2013年 麻布中学校入試問題 理科)

「な、なんだ、コレは!?」

さぞかし受験生は面食らったことだろう。それは問題用紙の4ページ目に印刷されていた。問題用紙を開くと突如としてネコ型ロボット・ドラえもんの挿絵が出現するのだ。

設問文の要旨はこうだ。

<「ドラえもん」がすぐれた技術で作られていても、生物として認められることはありません。それはなぜですか>

選択式の問題ではない。解答用紙には空白の記述欄のみだ。

この御三家・麻布中の入試で今年出題された理科の問題が、ネットや新聞で取り上げられ、大きな話題となっている。

私立中学の入試問題で、アニメなどの題材から出題されることは時々ある。しかし、今回はその知名度において比類のないドラえもんだ。ネット上では「答えが明確に出ない出題は不適切」といった批判や、ストーリーの詳細に立ち入った議論が盛り上がりをみせている。

いったい麻布中には、どんな出題意図があったのか。学校側は、「問題の解答や意図の解説は一切しません」との見解ゆえ、学習塾サピックスの理科の教科責任者・松谷憲一さんに解説をお願いした。

「麻布中入試の理科の出題では、初見の題材を出す傾向がしばしばあります。受験生を“小さな科学者”としてとらえ、これまでどの問題集でも見たことも聞いたこともない切り口の問題に対して、どれくらい深い理解力や思考力があるかを問うのです。以前にも、ウランの半減期やAEDといった小学生には難解と思える内容も出題しています。それに比べ、ドラえもん問題はソフトな印象ですが、初見で科学的な思考が試されるという意味では、極めて麻布らしい問題だと思います」