2013年2月11日(月)

子どもを将来仕事に困らない人間に育てるには

「迷いなく生きる」ための全課題

PRESIDENT 2011年1月17日号

著者
三谷 宏治 みたに・こうじ
K.I.T.虎ノ門大学院教授、早稲田大学ビジネススクール・グロービス経営大学院客員教授

三谷 宏治1964年大阪生まれ、福井育ち。東京大学理学部物理学科卒、INSEAD MBA修了。BCG、アクセンチュア(戦略グループ統括エグゼクティブ・パートナー)で経営コンサルタントとして活躍後、現在K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授、早稲田大学ビジネススクール・グロービス経営大学院 客員教授。2006年からは、特に子ども・親・教員を対象にした教育活動に注力し全国で講義・講演。放課後NPOアフタースクール・NPO法人3keys 理事、永平寺ふるさと大使。近著に『一瞬で大切なことを伝える技術』(かんき出版)、『一瞬で大切なことを決める技術』(中経の文庫)、『経営戦略全史』『ビジネスモデル全史』(ディスカヴァー21)、『ルークの冒険 カタチのフシギ』『親と子の「伝える技術」』(実務教育出版)、『お手伝い至上主義でいこう! 子どもの就職力を高める「ヒマ・ビンボー・オテツダイ」習慣』(プレジデント社刊)など多数。

K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院 三谷宏治 構成=久保田正志 撮影=芳地博之
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使い物にならない新人の共通点とは?

私の知人がある会社の人事部で採用を担当したときのこと。面接、テストと段階を重ねて採用した十数人を社内に配属したところ、しばらくして配属先の上司が人事にねじ込んできた。

「使い物にならん。気が利かず感謝を知らない、自ら学ぼうとしない奴らばかりだ」というのだ。

困惑した人事部では改めて社内調査を実施、「使える人材」と「使えない人材」を分けるポイントを探った。そしてわかったのは、「使える」と言われた新人はみな子どもの頃に親の手伝いをした経験があり、「使えない」新人はしたことがない、という事実だった。つまり「小さい頃お手伝いをしていたかどうか」が両者を分けたのだ。

以後この会社では、「子どものときに親の手伝いをしたことのない人間は、採用してはならない」と決めたという。

国の調査によれば、お手伝いをよくする子どもは非常に正義感・道徳心が強く、お手伝いをしない子はその逆だった。また東京都の調査では、お手伝いをしている子は、していない子より問題解決能力が高かった。

他人とのコミュニケーション能力、判断力、洞察力など、企業に採用され評価されるにしても他の仕事につくにしても、共通して必要とされる能力がある。仕事に困らない人間になるためには、そうした能力を早いうちから身につけねばならない。そのために「お手伝い」に勝る経験はないのである。

現代の日本で親が子どもに第一に求めることは「勉強」だ。「勉強しなさい」と言われ続けた子どもたちは、「一番大事なのは勉強だ」と思い込む。たまに「お手伝いしなさい」と言われても「家事はお母さんの仕事でしょ」と反論する。受験生の親などは「子どもに勉強以外何もさせないことが自分の仕事」と心得ている。親子とも悪しき「勉強至上主義」に毒されているのだ。

しかし子どもの勉強も、家あってのもの。生活のために親のしている仕事こそ、何より大事なもののはずである。私に言わせれば子どもが一番にすべきことは勉強ではなく、親の手伝いである。つまり「お手伝い至上主義」だ。

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