「公文書偽造」はまだ時効になっていない

嘘の経歴を著書に平気で書く神経の持ち主でなければ、権謀術数の渦巻く政界で生き残っていくのは無理かもしれない。小池氏の嘘を信じてしまう私のような人間は、政治家には向いていないのであろう。

しかし、公職選挙法235条は、身分、職業、経歴などに関して虚偽の事項を公にした者は「2年以下の禁錮または30万円以上の罰金に処する」と規定している。学歴詐称は、公選法上の虚偽事項公表罪である。刑が確定すると、当選は無効となる。時効は3年である。

また、卒業証明書などを偽造した場合、公文書偽造(時効7年)、私文書偽造(時効5年)で起訴されうる。

2020年の都知事選挙のときの公選法違反は時効となっているが、公文書偽造や私文書偽造はまだ時効ではない。そこに、小池氏が嘘をつき続けなければならない理由がある。

「東京都のエジプト関連予算9700万円計上」の謎

小池氏は国政に復帰して総理の座を狙うというが、それは国益を甚だしく損なうと考える。

小池氏は、エジプトに、学歴詐称のもみ消し工作で協力してもらった「借り」があるため、たとえば、エジプトからの援助要請を拒否できないであろう。ゆえに、国会議員として国政に参画する資格はない。

実際に、カイロ大学の声明文が発表された後、東京都のエジプト関連予算が9700万円計上されたという。私が都知事のときには、そのようなことはありえないことであった。このようなエジプト贔屓びいきが国政の場でなされてよいはずはない。

「東京都のエジプト関連予算9700万円計上」の謎
写真=iStock.com/Anton Aleksenko
「東京都のエジプト関連予算9700万円計上」の謎 ※写真はイメージです