取材相手には傲慢な人や、思い描いていた印象と違う人もいる。この人の作品がなぜ人々を惹きつけるのかを考えながら取材しました。さらに、こういう言動が人気を呼ぶのか、このタイプの人物は敵対するだろう……そうやって、多くの“人物”像を掘り下げる経験を積む中で、『ハゲタカ』シリーズ(講談社文庫)のファンドマネージャーの鷲津政彦や、『売国』(文春文庫)などでおなじみの検事・冨永真一のキャラクターをつくっていきました。

置かれたポジションを楽しむ

高校生の頃には「小説家になりたい」という気持ちが強まり、そのための修業として、大学卒業後、新聞記者になりました。2年半の記者生活で分かりやすい文章を書く訓練ができました。

そして、ライター時代の広告原稿では小説のキャラクター作りを学びました。

どんなときでも自分の置かれたポジションをいかに楽しむかを大事にしてきました。とはいえ、ただ受け身で楽しめばいいというわけではなく、自分の価値観や目標など軸が必要です。軸があれば、「こうしたことをやりたい」というポジティブな視点に加えて、そこから離れた客観的な視点も持つことができる。視点が2つになると、違和感を抱きやすくなります。「ちょっと待てよ」「何かがおかしい」というふうに違和感を抱いたら、面倒がらずに、情報を精査する。それを繰り返すことで見識が磨かれていきます。そのプロセスについては、『疑う力』(文春新書)で詳しく書きました。