上司への提案をいつも通せる人は、どこが違うのか。マネジメントコンサルタントの濱田秀彦さんは「上司は部下の覚悟をみている。シンプルなことだが、『目を見て、語尾まできっぱりと言い切る』ということを徹底することが重要ではないか」という――。

※本稿は、濱田秀彦『あなたが上司から求められているシンプルな50のこと』(実務教育出版)の一部を加筆・再編集したものです。

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部下からの提案で、上司が気にしていること

マネジメント研修の講師という仕事柄、様々な企業の部下層の方とお話をする機会が数多くあります。その中でよく聞くお悩みは、「上司に提案しても通らない」「こうしたい、と相談してもOKがもらえない」というものです。部下からすれば、「せっかく提案したのに」という忸怩たる思いになるのは自然なこと。それは、理解できます。こういった話は、「了解しない上司に問題がある」というニュアンスで終わることが多いものです。

一方の上司側の話を聞くと、了解しないのは部下側に問題があるというスタンス。このままでは、問題は解決しません。そこで、まずは上司の状況を分析してみましょう。

リモートワークが普及してから、管理職が部下の動きを正確につかむことは、以前に比べ格段に難しくなっています。部下から提案や相談を受けても、部下の仕事の詳細はなかなかわかりません。それでも、判断はしなければなりません。ここで、まず上司が気にするのは論理的に矛盾がないか、過去の経験から考えて違和感がないか、という2点です。

目を見て言い切るかで最終判断している

このチェックを通るだけでも大変ではありますが、それは通ったとしましょう。

2点がクリアされても、まだ上司はOKを出せません。詳細が十分にわかっていないため、不安が残るからです。そこで、もう1つ材料がほしくなります。それは、提案や相談をしてきた部下側の覚悟です。

部下側の覚悟を測る質問が「本当にそれでいけるのか?」といったもの。ここで、部下側が「いけます」「やらせてください」と毅然と言えば、交渉は成立。めでたくGOサインが出るわけです。

しかし、部下側がそのように言い切ることは多くありません。一瞬絶句した後、伏し目がちに「できるだけ努力しますが、相手があることですし……」と自信なさげに返してしまいがちです。これでは、せっかく論理的矛盾チェックと経験からの判断という2点をクリアしても、OKまではもらえません。

最後のピースは「目を見て、語尾まできっぱりと言い切る」ということです。