わかっちゃいるけど取りかかれない。その心理的メカニズムを理解すれば、突破口は必ず見える。すぐやる人になるための簡単な仕掛けを紹介する。
心理カウンセラー 
笹氣健治氏

最新の仕事術を身につけて効率的に仕事を片づけようと思っているのに、机の上にノウハウ本がたまるばかりで、肝心の仕事に手がつけられない……。

「ここ5~6年の傾向ですが、若手ビジネスマン向けに、仕事のノウハウを伝授する本がよく売れました。この手の本は、仕事術を教えると同時に、失敗回避意識を強く刺激します。ムダなことをやっていると勝ち残れないぞというメッセージを送ってくるのです。そのせいでしょうか、効率的なやり方にこだわるあまり、仕事の肝心な部分を先送りしてしまう人が増えています」(笹氣健治)

完璧主義タイプは職人気質の日本人が陥りがちな先送りパターンといえそうだが、この効率主義タイプは新手のパターンのようだ。それだけ現代が忙しい時代であることの裏返しかもしれない。

仕事に効率を求めることも、決して悪いことではない。しかし、あらゆる仕事が効率化できるわけではない。笹氣氏によれば、効率主義タイプとは、仕事の「仕分け」ができていない人々でもある。

「効率化できる仕事とは、たとえばトヨタのカイゼンを思い浮かべていただければいいと思いますが、工場のラインなどで行われている単純繰り返し作業だけなのです。何度も同じことを繰り返すうちにムダな作業が明らかになってくるから、そこをカイゼンしようとなる」