マニュアル化が可能な仕事、と言い換えてもいいだろう。しかし、世の中のすべての仕事がマニュアル化できるわけではない。効率主義タイプの人は、その仕分けができていないと笹氣氏は言うのだ。

心理学ジャーナリスト 
佐々木正悟氏

「クリエーティブな仕事や、毎回相手が代わる営業のような仕事は、本来、効率化のしようがありません。しかし、ムダは悪、時間がかかるのは悪という思い込みがあると、仕事に取り組むよりも、ほかにいい方法がないだろうかという方向に頭が向いてしまう。でも、そんな都合のいい方法は存在しないのです」(笹氣)

マニュアル化不能な仕事は、えいやっと始めてしまうしかない。そのために有効なのが「誘導タスク」という仕掛けだ。

「たとえば、パソコンや机の上に資料を広げてしまう。その仕事を片づけなければ物理的に困るように仕向けて、無理やり最初の一歩を踏み出すのです。ゴミ捨てを先送りする人は、ゴミで玄関を塞いでしまえば絶対に捨てます。これが『誘導タスク』。TODOリストの中の、とにかく小さなものから手をつけるのも、動きだすにはいい方法です」(佐々木正悟)

効率を追求する心理は、失敗したくない、成功せねばという心理の裏返し。根本治療には、人生、何が成功なのかを再考する必要があるだろう。

心理カウンセラー 笹氣健治(ささき・けんじ)
1967年、宮城県生まれ。国際基督教大学教養学部卒。人が行き詰まる様々な心理問題の解消をテーマに執筆、講演、セミナーを行う。『なぜあなたはその仕事を先送りしてしまうのか?』など著書多数。

心理学ジャーナリスト 佐々木正悟(ささき・しょうご)
1973年、北海道生まれ。獨協大学、アヴィラ大学心理学科卒。『いつも先送りするあなたがすぐやる人になる50の方法』など、著書多数。ブログ「ライフハック心理学」を主宰している。
(川本聖哉=撮影)
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