日本人に働きやすい「返報性の原理」

マクドナルドの無料コーヒー、グリーやモバゲータウンなどの無料ゲーム、書籍の無料公開など、本来は有料の商品やサービスをフリー(無料)で提供するビジネスが目立つようになりました。海外では無料レンタカーや、果ては無料の売春宿まで登場しています。

フリーのビジネスが流行る背景には、消費が飽和しているうえにデフレ傾向が強まっていることがあります。単に魅力的な商品を投入しただけでは売れなくなり、低価格志向と親和性の高いフリーが消費者にアピールするための手段として活用されているのです。

フリーのビジネスモデルの核心は、無料の商品・サービスを呼び水にして顧客を囲い込み、顧客の一部に有料の商品・サービスを購入してもらい、利益をあげることにあります。

なぜ、無料の商品・サービスを提供すると、有料商品・サービスの販売につながるのか。それは心理学でいう「返報性の原理」(他人から何かをしてもらうと、お返しをしなければという感情を持ちやすい)が働くためです。とくに義理堅いといわれる日本人には、この原理が働きやすいと考えられます。

では、フリーで儲かる仕組みをつくるためには、どんなことに気をつければよいでしょうか。

まず重要なポイントは、無料提供する商品・サービスにかかるコストをできるだけ安く抑えることです。

その点でフリーと親和性が高いのはネット上のサービスです。たとえば、ネットを通じて書籍の内容を公開すれば、コストはかかりません。失敗してもダメージは少なくてすみます。逆にリアルな世界のモノやサービスはどうしてもコストがかかってしまいます。

斬新なアイデアを考え、他に先駆けて取り組むことも重要なポイントです。宣伝効果を高めるには、消費者にインパクトを与えなければなりません。そのためにはまだ誰も手がけていない分野ややり方でフリーを手がけることです。それも、できるだけ短期間で。