“現在地”を把握してこそダイバーシティが実現

調査結果の発表の後は、ゲストの白河桃子さんによる「日本企業の問題点」の解説。

ゲストの白河桃子さん
撮影=田子芙蓉

白河さんによると、「ダイバーシティを考えるとき、企業ごとに自社の“女性活躍の現在地”を把握することがもっとも大事」だという。

<フェーズ1>

まず、女性活躍の第一歩として、1986年の「第一次雇用機会均等法」がある。「男女平等に働ける」ことになったが、女性が男性の働き方に合わせる働き方だ。

<フェーズ2>

フェーズ2では、「女性に優しい企業=両立支援」の実施が広がる。

2010年に「時短制度」が措置義務となったことで、女性の育休取得率は100%になり、希望する女性は育休後もすべて継続就労ができるようになる。しかし支援を受けられるのは女性メインで、男性の働き方はあまり変わらず、管理職になる女性は子どもがいなかったり、子持ちでも男性と同じ働き方ができる人中心であることは変わっていない。

2016年には、「女性活躍推進法」ができ、大企業は「女性も管理職にする」という行動計画の下、女性管理職育成に力を入れはじめる。

しかし、女性たちが、“管理職になるとプライベートがなくなる”と考え、昇進を望まなくなったのは、男性同様の働き方=長時間労働による無理が起因していると白河さんは言う。

<フェーズ3>

フェーズ3になると、男女平等の「働き方改革」が叫ばれるようになる。2019年には脱長時間労働に舵を切り、労働時間規制も広まり、現在は、日本でも労働時間より時間あたりの成果を評価する方向にシフト。男性の両立支援(育休取得推進)も進み、女性だけではない、真のダイバーシティが進み始めている。

「ダイバーシティの『目的』は、男女問わず、すべての人を活躍させること」(白河さん)

女性活躍=多様性。多様性の欠如は組織の弱体化に

現在地とは、先述した「フェーズ1」「フェーズ2」「フェーズ3」のどこに自社の女性活躍が位置しているかだ。女性活躍とは、多様性を推進することであり、多様性のある企業には、いろいろな人の目線やアイデアが生かされることでイノベーションが起きやすくなる。

「多様性の欠如=同質性は、自分たちの組織を弱体化させることを意識しなければならない。同じ属性の人だけを引き上げることは、同じ考え、同じ意見しか出にくくなるなど、引いては企業のリスクにつながる」(白河さん)

ダイバーシティの進捗しんちょく
1.デモグラフィー型ダイバーシティ(性別・国籍・年齢など属性の多様性)
2.タスク型ダイバーシティ(能力・知識・経験など、目に見える多様性)
3.認知型ダイバーシティ(視点の多様性[Cognitive Diversity])

ダイバーシティ経営で最終的にめざすのは、(3)の認知型ダイバーシティだ。これは、企業の持続可能な成長のため、企業価値を上げるためにさまざまな視点が必要だからだ。