科学的に効果が高くない勉強法2 ノートに書き写す・まとめる

再読の次に取り上げたい、あまり効果の高くない勉強法、それは「教科書や参考書の文章をノートにただ書き写す・まとめること」です。

アルファベット
写真=iStock.com/sankai
※写真はイメージです

教科書や参考書の内容を、綺麗な字でノートに書き写したり、まとめたりしているのに、試験の点数が芳しくない人は意外と多いのではないのでしょうか。参考書のポイントだと思う箇所や、英単語帳から英単語をノートに丁寧に書き写したり、まとめたりすることは、それだけで達成感があり、「勉強した気」になってしまう行為です。

★研究
アメリカの高校生を対象に、ノートの取り方についての学習効果を調べた研究をみてみましょう。この調査では、次のような複数のグループに学生を分け、アフリカの架空の部族に関する2000語の文章を高校生に読んでもらいました。

・Aグループ:各ページを読んだあとに、短く3行に内容をまとめる(要約)
・Bグループ:読んでいる時に重要だと思う文章が出てきたら、自分の言葉でノートに書く(パラフレーズ)
・Cグループ:重要だと思う文章を3行そのまま書き写す
・Dグループ:文章を読むだけ

そして、勉強直後と1週間後に内容についての試験を受けてもらい、学習効果を調べました。結果は、文章をそのまま書き写した生徒は、ただ文章を読んだ学生と変わらないというものでした。

書かれた文章をそのまま書き写す作業は、文章を記憶したり理解したりしなくてもできるうえ、脳で負荷のかかる処理がほとんど行われないため、学習効果が低いと考えられます。

それでは、自分の言葉でまとめたときの学習効果はどうでしょうか。この研究では、パラフレーズしたBグループと、より短く要約したAグループの点数は同等で、ただ読んだ学生や、そのまま書き写した学生よりも高い点数となりました。読んだ文章を自分の頭の中で処理して言い換える、まとめることには、一定の効果があるとする研究報告は、このほかにも複数あります。

しかし、注意しなければいけないのは、何かを「要約」するという場合の方法と、その質です。どれくらいの基礎知識があって、どこの部分を重要と判断し、どれくらいの量の情報を、どれくらいの文章にまとめるのかなど、要約する能力と、要約した情報の質には、かなりの個人差があります。

要約をうまくできるようになるための特別な訓練を行うと学習効果が高まる、という報告もありますが、そうした特別な訓練を多くの人が受けているわけではありません。さらに、後述するいくつかの学習法と比べても、要約の学習効果が低いことが報告されています。