米国ではグレープフルーツ、ピーチも展開

このため、②モルトベースであるハードセルツァーやモルト発酵のFMB(Flavored Malt Beverage)が市場の85%を占める。①スピリッツベースは15%ほどですが、大きく成長している。

私たちは①スピリッツベースでは2020年に、カクテルRTDの「On The Rocks」を買収して販売しています。加えて、-196を昨年5月から4州にてテスト販売を開始。好調だったため、今年2月から21州に順次拡大して販売を始めました。レモン、グレープフルーツ、ピーチをそろえ、本格展開に踏み切りました。

モルトベースの販売ライセンスを私たちはもっていない。21年にボストンビール社と提携し、いまのところ、製造と販売を任せています。

モルトベースは、コロナ禍前にハードセルツァーが若者に支持されて大きく伸びましたが、いまは人気は陰っている。トレンドは常に変わり続けます。

サントリーRTDカンパニーの仙波匠社長
撮影=門間新弥
サントリーRTDカンパニーの仙波匠社長

――アメリカ市場でマークしている会社は。

ワインの最大手、E&Jガロ社(カリフォルニア州)。スピリッツRTDに力を入れていますから。

基礎研究は日本、商品開発は現地で

――アメリカにR&D(研究開発)拠点も開設するのですか。

ニューヨークのマンハッタンにある、ビームサントリー本社のオフィス内に開設することを検討しています。パイロットラボであり、試作品の開発やテイスティングができる施設。アメリカで受ける味づくりを担います。ニューヨークはトレンド情報の発信基地。それだけ重要であり、何しろアメリカ市場の規模は絶大です。

いま、中国でも-196をつくっていますが、中国では桃味に人気があるなど、現地化してわかる情報も多いです。基礎研究は日本で、商品化に近い開発は、現地でという形です。

サントリーRTDカンパニーの仙波匠社長
撮影=門間新弥
サントリーRTDカンパニーの仙波匠社長
金額ベースで2022年のRTD世界市場は397億ドルとみられる。2017年が171億ドルなので、2.3倍に拡大している。22年の市場のうち、アメリカ市場が182億ドルと46%を占め、次いで日本市場50億ドル、オーストラリア市場44億ドル、中国などその他が21億ドルという構成。17年のアメリカ市場は49億だったので、22年はその3.7倍に成長した。