本当の知恵や宝は自分の中に眠っている

左脳由来であれ、右脳由来であれ、ひとり言は自分自身の内側から自分に向けられた、重要なメッセージであることに変わりはありません。

そのメッセージをいかに真摯しんしに受け止めることができるか?

つまり、ひとり言を言っている自分を、しっかり認識することが大切になります。

考え事をする人のイメージ
写真=iStock.com/karinsasaki
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たとえば思わずひとり言が口から出たとき、ほとんど気にも留めず、ひとり言を言っていることすらも気がつかない人もいます。

それではせっかくの重要な情報、メッセージを見逃してしまうことになります。

「あれ? 今、何かをつぶやいたぞ……」
「なんだ? 今何て言ったんだっけ?」

ひとり言を再確認するという行為が、とても大事になるのです。それによって、無意識で出たひとり言を意識化することができます。

そのうえで、「きっと、どこかに違和感を覚えたから、そんなことを口走ったのかな?」とか、「なんで自分はダメだと思ったのだろう?」「じゃ、どうすればいいのさ!」と、ひとり言に対する返答を口に出してみて下さい。

まるで一人二役のように、ひとり言で会話を続けてみるのです。

すると、どうしてその言葉が出てきたのか、自分がそれに対してどう考え、どうしたいのか、ということが、次第にはっきりとしてくるはずです。

つまり、ひとり言と向き合うということは、自分自身と向き合うこと=「自己認知」に他ならないのです。

SNSやチャットGTPなど、私たちは答えを自分の外のデータや情報に求めがちです。

ですが、自分が何をしたいか、何が大切か、どうするべきか、といった自分の問題の答えは、自分自身の中にしかありません。本当の知恵や宝は、自分の中に眠っているのです。

禅は「すべての答えは自分の中にある」という思想を大前提としているそうです。

自分と向き合うひとり言こそ、自己を認知し、内なる答えを見つける究極のツールなのです。

溜まったストレスを、声に出すことで発散する

ひとり言のすごい効果①
気持ちが整理され、心が軽くなる

ひとり言を発することで、さまざまな効果・効用が得られます。

ここからは、その具体的な例を挙げてみたいと思います。

まず1つ目は、「内省を促し、心の整理がつく」ということです。

ひとり言は、自己の内面から自ずと溢れ出てくるものです。

それだけに、ひとり言と向き合うことは、自己と向き合うこと=「内省」につながります。

「どうしてあんなことを言ったのだろう?」
「なんで、あんなことをしたのか?」

自分の発言や行動を振り返って、いたらない思いや悔しい思いに捉われることもあると思います。

そんなとき、思わずひとり言をこぼしていることはありませんか?

自分の言動や行動を後悔する気持ちや責める気持ちが強いほど、心の中には強いストレスが生じています。

ひとり言には、そんなやるかたない憤懣やストレスを、言葉にすることで解消し、昇華する力があります。

「あーあ」とか、「もう!」というような感嘆詞は、そんなひとり言の一部かもしれません。

また、「はぁーっ!」と大きくため息をつくことも、ひとり言の一種だといえるでしょう。

いずれにしても溜まったストレスを、声に出すことで発散する作用があります。

意識的にも無意識的にも、このようなことを皆さんは日常の中でやっているのではないでしょうか?

さらに、ひとり言をつぶやくことで、たんにストレスを発散するだけでなく、次にどうしたらいいかという対処の仕方がわかったり、心の整理がつく場合があります。

「よし、次に会ったら謝っておこう!」
「今さら気にしても、仕方がないさ」
「どうにかなるって!」

ストレスを発散しながら、自問自答するうちに、不安や心配が少し軽減されるでしょう。

ひとり言には、もやもやした気持ちが整理されたり、踏ん切りがついて心が軽くなるという効果があるのです。