唯一気をつけたいのは、熱に弱いこと

ただし、唯一気をつけてほしいのは、酸化型ビタミンCが熱に弱いという点です。生で食べるカット野菜はまったく心配ないんですけど、ゆっくり煮込んだ野菜だとビタミンCが減ってしまう。その分、果物を食べて補おうと考えればいいのです。

コンロ上の沸騰した鍋に入った野菜
写真=iStock.com/Peter Horrox
※写真はイメージです

「酸化型のビタミンCはちゃんと効力があること、カット野菜のビタミンCは壊れていないこと」は知っておいてほしいと思います。

――なるほど。「カット野菜はできれば避けるべき」という印象があったのですが、お話をうかがうとだいぶ考え方が変わりますね。カット野菜をもっとオープンに受け入れていったほうがいいですね。

【成田さん】そうなんですよ。カット野菜を使っている人に「なんで使っているの」というのは余計なお世話ですし、使う側も躊躇する必要はない。「お値段ちょっと高め」という理由以外では、カット野菜は使われてなんの問題もないというのが私の見解です。むしろぜひ使ってくださいと言いたいぐらいですよ(笑)。

野菜には栄養以外に大きな役割がある

――ネガティブな理由でカット野菜を避ける必要はないのですね。

先ほどお話の中に出てきました、栄養を取るという目的以外の、「野菜を食べる意味」についてお話をうかがえますでしょうか。

【成田さん】野菜の効果って、栄養だけではないんですね。極端な話、栄養を満たすという話であれば、たとえばレバー。レバーは鉄も多いしビタミン類もいっぱいある。ただビタミンCが少ないので、そこは果物を食べればいい。レバーと果物を食べていればもう水溶性ビタミンは賄えるということになる。それと、野菜に食物繊維が入っているということはよく知られていますが、食物繊維も他のもので取ることができます。

では野菜は何がいいかというと、食べごたえがあるから満足感が出るんですね。野菜の食べごたえは口の中だけでなく、腸の中でも適度な刺激として働きます。消化があまりよくないから、腸を運動させてくれるのです。だから高齢者や、野菜をあまり食べない人は腸の動きが弱くなっていってしまいます。

適度な刺激がないと運動不足になるというのは内臓にも当てはまっていて、野菜には腸の運動を活性化させる役割もあります。