職場のパワハラ問題を解決するにはどうすればよいのか。人材育成コンサルタントの松崎久純さんは「組織にパワハラがあることを認め、問題として対処しようとする、まずは誰かが声を上げることが大切」という――。

性格がわるい人ばかりでパワハラが横行

30代会社員の方からのご相談です――今年になって配属された事業部は、全体的に性格のわるい人が多く、言葉の暴力から、陰険ないじめまで、パワハラが日常的にあります。そのため転職する人も多く、そうでなければ、この環境で生き延びるべく、体質に染まっていく人がほとんどです。とても健康的とは言い難いのですが、パワハラのある組織は、どこでもこんな感じになるのでしょうか。

パワハラを含むさまざまなハラスメント。そのカウンセリングを仕事とする人は多いと思いますが、私も業務の一環として、「パワハラの行為者(パワハラをする側の人)に対するカウンセリング」を専門に行っています。

その業務を通じて「パワハラのある組織」を見てきた経験からお答えします。

「パワハラのある組織は、どこでもこんな感じになるのか」というご質問ですが、必ずしもすべての組織がそうなるわけではありません。

理不尽
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パワハラはありとあらゆるところに存在する

パワハラのある組織は、どこにでも存在します。

録音するだけで十分にパワハラと証明できるものから、暴力的な感じはなく、言葉遣いはやさしいが、結局のところは理不尽な要求をされ、無償の早朝出勤を強いられるといった手合いのものまで、パワハラはあらゆるところに存在します。

もちろん、話がもっと複雑に込み入っていることも、めずらしくありません。

しかし、相談者の方が悩んでおられるように、転職者が続出したり、皆がおかしな体質に染まることばかりではないのです。

なぜなら、「パワハラ行為があること」と「組織がそれをどう扱うか」は別のことだからです。

パワハラがあることを認め、問題として対処しようとする組織もあれば、パワハラがあることを認めようとしない組織もあるわけです。

相談者の方の組織では、おそらくパワハラが見てみぬふりをされ、問題として扱われていないのでしょう。問題として対処しようとする組織も、それを効果的にできるかどうかは別の話ですが、見てみぬふりをする組織と比べれば、従業員の出入りが激しいといった現象は生じにくいものです。