ジャニーズは約束を何も果たしていない。あれほど「反省」を口にしていたメディアも、年が明けたらもう、ジャニーズ頼みの番組編成に戻りつつある。能登半島地震や松本人志の性加害事件に話題が集中する陰で、目論見通り「時間がたてばみんな忘れてくれる」という戦略。そんなジャニーズとメディアに、元週刊文春編集長が、10カ条の公開質問状をたたきつける――。

口先だけの「反省」で終わらせようとしているのか

やはり、ジャニーズ問題は「一億総懺悔」で終わってしまうのでしょうか。

BBCの報道に始まったジャニー喜多川氏による、1000人以上という大規模な性加害に対して、藤島ジュリー社長は2023年5月に動画で謝罪し、元NHKの武田真一氏は「報道側として報じる責任があった」と認めてからは、9月以降、宮根誠治や大物キャスターが次々反省の弁を述べ、メディアの社長も軒並み報道機関としての責任を感じるとコメントしました。

そして9月7日と、10月2日には2度にわたりジャニーズによる記者会見も行われ、ジャニー氏の犯罪行為への謝罪と被害者への補償を尽くすことが繰り返し強調されたことは記憶に新しいはずです。

23年9月7日に開かれた記者会見。約束されたことは、今もほとんど闇の中。
写真=AFP/時事通信フォト
23年9月7日に開かれた記者会見。約束されたことは、今もほとんど闇の中。

しかし、それから約3カ月、ジャニーズ側の記者会見は行われていません。被害者補償が成立した人数が発表されたり、旧ジャニーズは新会社「SMILE=UP.」として補償のための清算会社となり、タレントとはエージェント契約を結ぶための新会社である「STARTO ENTERTAINMENT」と看板は変わったものの、あの記者会見で約束されたことはほとんど闇の中です。

たとえば、マスコミへの圧力をかけた白波瀬傑副社長について、「いずれ会見させる」とコメントしたはずですが、いつのまにか退職。会見に出てくる気配はありません。

戦後の「一億総懺悔」と同様に、みんながただ口先だけの「反省」を繰り返し、責任の所在をあやふやにしている。そして、ただほとぼりが冷めるのを待っている……。

「ジャニーズ性加害問題当事者の会」は10月8日、記者会見のやり直しを求める要請文まで発表しましたが、放置されたままです。

いや、その間、重大な事件もおこりました。被害者の自殺です。遺族らによると、深刻なトラウマを抱えていた被害者は元タレントで、5月には被害を事務所に訴えたものの、連絡するという返事が来たまま5カ月の間、全く放置されていたとのことです。

また、ジャニーズ性加害問題「当事者の会」の石丸志門副会長によれば、「当事者の会」を通じて、被害者補償が行われたことはないと言い切っています。事務所が公言した「法を超えた補償」はどこヘ行ったのでしょうか。