売上高1兆円の「総合ヘルスケア企業」

富士フイルムのCEOとして事業を俯瞰する古森は、東大在学中に所属したアメリカンフットボール部時代からの考え方をよく引き合いに出す。古森は、「そのときに学んだアメフトの精神と、富士で会得した企業経営の精神と基本は同じ」といい、両者に共通する「闘魂、力、スピード、戦略、チームワーク」の5つの柱を挙げている。

「肉弾相打つスポーツだから何より闘魂がなければ駄目。加えて、相手にぶつかったときにはね返す力が求められる。3番目にはスピード。力だけでのろい奴は駄目で、鋭く速くないといけない。ラグビーと比べて前にもボールを投げられる幅の広い戦略性、そして11人が円陣を組んだあと『次はこのプレーでいくぞ』というチームワークが大事なんです」

同じ東大のアメフト部で5年下の小宮山宏三菱総合研究所理事長(東大総長顧問)は、「一緒にプレーした時期はありませんが」と断りながらも、OBとして見る古森の実像を次のように語る。

「5つの柱の中でも、『闘魂』が最初にくるのはいかにも古森さんらしい。アメフトは格闘技で、論理的思考と直観が何よりも求められます。もちろん、力とスピードの伴わない闘魂は意味がありませんし、それらが揃った古森さんは、生まれつきのファイティング・スピリットの持ち主なのかもしれませんね」

古森は5つの柱の中でも、「闘魂」や「力」により力点を置く。とりわけ「力」には深い思い入れがあり、5歳で敗戦を迎えた旧満州・奉天での子供時代を振り返った。「戦争に負けるということがどんなことか、子供心にもわかりました。力がなければ駄目だ、国も力がなければ駄目だし、人間としても力がなければ駄目。力といってもむき出しの暴力やそういう力ではなく、本当の実力、それがないと何もできませんよ」

このような古森という人物が取り組んだ一連の組織改革を見ていきたい。