65歳定年の先を見据えたキャリアデザインが必要

サントリー大学の学部の1つである「100年キャリア学部」は23年4月に設立。40代以上をメインターゲットに自らのキャリアをデザインするマインドセットとスキルセットの獲得を支援する目的で設立されたものだ。

長政部長は「人生100年時代になれば80歳ぐらいまで働く人が増えるなど、キャリアや職業人生も長くなります。当社は65歳定年ですが、ここで終わりではなく、その先を含めて自分のキャリアをデザインし、そのために必要なスキルを身に付けながら、アップデートしていくことが求められますし、それを支援するのが学部の目的」と語る。

学部の講座はキャリア自律やメンタルタフネスなどのマインドセットの講座や、資格取得などのスキル学習だけにとどまらない。社内で活躍し続けるシニアの事例紹介や業務外で社外のNPO法人業務に携わる「越境学習」、地方自治体にミドル・シニア社員を2年間出向させる「地方創生人材制度」の紹介や体験記も掲載するなど多彩なコンテンツを揃えている。さらに関心のある人はデジタル学部など専門的知識も自由に学ぶことができる。

ただし、どれだけ豊富なメニューを揃えても目の前の仕事に忙しく、将来のキャリアを考える余裕のない人もいれば、今さらリスキリングなんてと敬遠する中高年も少なくないだろう。そんな人たちを誘導するのが同社の「キャリアワークショップ」だ。人事部内のキャリア推進センターが主催し、入社3年目と10年目、43歳と58歳等の節目に社員全員が自分自身のキャリアを考えるワークショップを受講、その後キャリアコンサルタントの資格を持つ社員の個別面談を受けるなど、全員がキャリアオーナーシップを持てるような機会を提供している。

43歳の社員に実施する重要な研修

実は以前は53歳になった社員を対象にしていたが、10歳前倒しし、2021年から43歳時に全員を対象に実施することになった。なぜ43歳なのか。その理由について長政部長はこう語る。

「社員のキャリアが多様化するなかで53歳では遅すぎると考え、もっと早い段階で先々を見据えてキャリアや人生について考える機会を設けることが必要と判断し、折り返し時点の43歳にしました。マネジメント職に就いていてポストを退く方、プレーヤーとして50代を迎える方など、50代社員のキャリアはさまざまですので、最適なタイミングとして43歳での実施としました」

43歳のキャリアワークショップでは、今までの自分のキャリアを振り返り、モチベーションの源泉について考える外部講師によるマインドセットのセミナーを受講。その後、自社のキャリアコンサルタントによる1対1の面談を通じて後半の人生をどのように歩んでいくか、そのために何を学ぶ必要があるのかを考える。その際に100年キャリア学部の講座を紹介し、学習したい講座を自ら選んでもらうなど、自主的な学びに誘導する仕組みになっている。