年俸は6000万円→100億円に

これらの中でスタート地点としては最も条件の低かった大谷は、2023年末ではメジャー6年間で4040万ドル(約54億円)、実は「成果に対して圧倒的に給与の低い選手」であった。

雑誌『アトランティック』も「大谷翔平は世界で最も能力に見合わず薄給な男かもしれない」という見出しで記事を掲載している(2017年12月11日配信)。

それが日本ハムでのプロデビューから数えて9~11年目となる2021~23年、前述のような空前絶後の記録を打ち立て、結果的に2024年から10年間・7億ドル(約995億5000万円)、年俸ベースでは約100億円という過去最高地点に降り立った。

MLB7年目で初任給の166倍、日本時代ピークの2017年の2.7億円から比べても37倍の年俸となった。

選手の契約金はどこまで上がるのか

果たしてこの大谷の契約がどのくらいすごいのか。

これは過去10年ずっと「世界で稼ぐトップアスリート」の常連で、Top4からすら外れたことのなかったリオネル・メッシ(2014~23年の平均年俸6.8億ドル=約967億円)とクリスチャーノ・ロナウド(平均6.0億ドル=853億円)といった数字を越えるものであり、野球どころかサッカーやバスケなどあらゆるスポーツの中で、世界中の記録のなかで最も高額で締結された契約である。

もともとこの30年間、スポーツ界は北米4大スポーツ(アメフト、バスケ、野球、ホッケー)と欧州サッカーが牽引するバブルとなっている。

アメリカでは、1996年に、「あらゆる事業者」が「あらゆる通信分野」に相互参入し、活発な競争を繰り広げることを目指す連邦通信法が成立した。

これにより通信キャリアがケーブル放送に参入するなど、メディアでM&Aが活発化。ディズニーABC、ユニバーサルNBC、バイアコムCBSなど巨大メディアコングロマリットが誕生した。

これら巨大コングロマリット間での競争が起こり、スポーツの放映権取り合いで価格が高騰し、選手たちの給与もどんどんあがっていったのだ。

1990年代からオリンピックの費用も際限なく上っており、「もう天井」と2010年ごろにも言われていたが、2021年の東京五輪の際にはそこから倍以上になりました。同じように、選手の給与もまだまだ上がり続けるだろう。

世界トップアスリートの給与推移
出典:Forbesサイトにて掲載の「The World's 10 Highest-Paid Athletes」の2012年~2023年までを筆者が集計し作成。