パナソニックらしくないブランディングをしてはいけない

――そして、原点に立ち戻り、心に着目するところから、「幸せの、チカラに。」というブランドスローガンが出てきたわけですね。

当初はあまりいいアイデアが出てこなかったんで、突き放していたんですが、最後にこの「幸せの、チカラに。」が出てきた。これはいいなと思いました。物心一如の繁栄ということを、そのまま表しているということからしたら、ありだと。

こういうアイデアは、私、センスがないので、私自身がこれを思いつくことはあり得ない。ようやってくれたと思います。

――楠見さんご自身のnoteでも、このブランドスローガンについては熱くお書きになっていました。

読んでくださって、ありがとうございます。もっとフォロワーが増えないかな、と思ってるんですけどね(笑)。

――上場会社の社長自らが、あんなふうに発信するケースはあまりないと思います。

私が言い出したわけではなく、ブランドのグループからやりませんかと言われて、えー、とか言いながら始めたんです。

――30年間、成長してません、なんて話もズバッと書かれていて。

だって、事実ですもん。これは、対外的に、ということ以外に、従業員に読んでもらうという意味もありますから。外にもこう言っているよ、と。

――反応はありますか。

他社の幹部の方が読んでおられたりして、驚きました(笑)。

――これから、パナソニックグループのブランドをどうしますか。

ブランドをどうするか、ということではないと思っているんですね。ブランドの価値でいえば、発信を強化していく側面はあります。ですが、嘘をいったって信じてもらえないだけですから。ファクトを積み上げていくしかない。

根底にあるのは従業員一人ひとりの行動があって、その結果、よいものができて、それが発信できるということになって、結果としてブランドが強化されていく、と。

あんなことやりたい、こんなことやりたいと発信ばかりをするのではなくて、きっちりと守れる約束を発信しないことには。そうでないと、パナソニックグループらしくないですから。

例えば、生活が多様化する中で、それぞれの人に合わせた利便性の新しい形をご提供する。今後のことを考えて、環境負荷のない形や資源循環を考えた上でモノづくりをしていく。

最近なら、おひとりさま用の食器洗い乾燥機なんて、今までにあまりなかった発想だと思います。炊飯器でも、自動的に計量して水とお米を入れて炊飯するというのも、これまでなかった発想です。今どきの利便性ですよね。