覚悟を決めて1回やってみよう

――話を広げて言えば、この20年、30年、日本の会社員の大半は、ダメだ、ダメだと言われ続けてきているわけですね。

【鳥越】ですが、その中でも絶対に成功事例ってあったはずなんです。どの会社、どの人でも、失敗もあれば成功もある。しかし、会社や社会が下向きの意識でいると、失敗ばかりが目について、大きく扱われてしまうんじゃないでしょうか。あるいは成功したとしても、不完全な点、アラ探しをされたり。

私は「ジオング(※)に脚を付けるな!」ってよく言うんですが、「完全」を目指すのはいいことではあるけれど、それは余裕がある組織、余裕がある時期に限られると思います。「ここができていない」「あれが足りない」と指摘するより、まず戦えるところから戦っていく。あえていえば成功か失敗でさえなくて「やったこと」「できたこと」をまず評価するわけです。

山中浩之『妻の実家のとうふ店を400億円企業にした元営業マンの話』(日経BP)
山中浩之『妻の実家のとうふ店を400億円企業にした元営業マンの話』(日経BP)

そうするとどうなるかというと、「自分はこれだけのことをやれた」という自信が、働く人にも経営者にも生まれてくる。それがスパイラルを逆転させるんですね。

過信につながるリスクもありますけれど、1回、自信を持って思い切って「こうだ」と言ってしまって、言ったからには、と、突き詰めてやっていくと、結構……まあ、おとうふだけかもしれませんけど、うまくいったりする。

特に、「差別化なんてもう無理」と誰もやらない、超成熟と言われる市場だと、成功する確率はかなり高いと思います。なので、覚悟を決めて1回やってみる。そう言われても不安だと思いますけれど、経営者としての教育も何も受けていない、一介の営業マンの私でも、これで「妻の実家のとうふ店を400億円企業に」することができましたので、参考にしていただけたらと思います(笑)。(第2回に続く)

ジオング……TVアニメ『機動戦士ガンダム』に登場するメカの名称。完成度80%で出撃命令が下されたため、脚がない。

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