4~5時間眠れない日が2週間続くと危ない

もうすぐ潰れてしまう社員に共通する2つめの特徴は、「4時間未満の睡眠時間が2週間連続している」ことです。

人が心身ともに元気でいるために、睡眠は、食事と同じくらいに大切です。一般的に、睡眠不足の影響は心と身体に現れます。心の影響として、集中力や判断力の低下、認知機能の低下、注意力の欠如、記憶力の低下、気分の不安定化、抑うつや不安の増加などがあります。身体の影響として、免疫機能の低下、炎症反応の増加、(糖)代謝機能の変化、ホルモンバランスの乱れ、体重増加のリスク増加などがあります。

これらの影響は、一般的な睡眠不足の状態が続く場合に見られるもので、個人差がありますが、産業医としての経験上、人は4〜5時間も眠れないことが2週間続くと、高い確率で睡眠不足からメンタルヘルス不調になります。

毎日6時間は「布団にいる時間」が必要

忙しいビジネスパーソンから、「ベッドにいる時間は4〜5時間ですが、いつもすぐ眠れて、アラームがなるまで爆睡しています。これで大丈夫ですか?」と、聞かれることがよくあります。実はこのような人こそ、注意が必要です。今は大丈夫でも、ちょっとしたことで寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めたりするようになると、容易に4時間未満の睡眠となり、メンタルヘルス不調になるリスクが高まるからです。

スマホのアラームのスヌーズをオフにする人の手元
写真=iStock.com/AndreyPopov
※写真はイメージです

こうならないためには、毎日最低でも6時間ほどは布団にいる時間を確保するのがポイントになります。たいてい人は睡眠の1サイクルが90分ですから、6時間横になっていれば90分のサイクルが3〜4回はとれていることになります。そうしていれば、仮に寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めたりしても、3サイクルくらいは眠れていて、睡眠不足からの体調不良は免れると思います。

忙しくてどうしても毎日6時間の睡眠時間を確保できない場合は、週末と平日に1回ずつでいいので、6時間確保するようにしましょう。それだけで、睡眠不足からくるメンタルヘルス不調はかなりの確率で予防可能です。