進化し続ける生成AIに追いつけなくなる未来

そこで気になるのは生成AIの柔軟性、つまり適応力の高さです。生成AIに多彩なデータを次々に与えて機械学習させるとどんどん新しい能力を育んでいきます。

ですから今の生成AIではできない、あるいは不得意とされていることでも、近い将来にはそれを楽々とやれるようになるかもしれない――これは生成AIと対峙する労働者にとって、あまり好ましい状況とは言えないでしょう。

小林雅一『AIと共に働く―ChatGPT、生成AIは私たちの仕事をどう変えるか―』(ワニブックスPLUS新書)
小林雅一『AIと共に働く-ChatGPT、生成AIは私たちの仕事をどう変えるか-』(ワニブックス【PLUS】新書)

たとえばコンピュータ・プログラマーへの労働需要は今のところ高いですが、既にプログラミングを行うGitHub Copilotのようなコード生成AIは存在します。今後、その精度がどんどん高まっていけば、プログラマーの必要性が失われていくかもしれません。

これに対応するために、現在のプログラマーが今後はシステム設計のような、より上流工程へと職種転換を図ったと仮定しましょう。しかし生成AIの方でも、間もなくシステム設計ができるようになれば、折角努力して就いた新しい職業も奪われてしまう恐れが出てきます。これでは労働者の方でいくら頑張っても追いつきません。

つまり生成AIは、私達労働者にとって「動く標的」となる可能性が高いのです。静止した標的であれば、落ち着いて狙いを定めれば射落とすことができますが、動く標的は厄介です。その動く方向やスピードを事前に予測することは難しいからです。

【関連記事】
これだけは絶対にやってはいけない…稲盛和夫氏が断言した「成功しない人」に共通するたった1つのこと
なぜヤフーはLINEを作れなかったのか…元ヤフー社長が訴えたい「変わらないこと」の本当の恐ろしさ
なぜ世界中で「ディズニー離れ」が起きているのか…会社の売り上げを90倍にしたプロ経営者が見落としたこと
「世界ランキング10」に残るのは1社のみ…日本の家電メーカーが中国、韓国に喰われてしまった本当の理由
日本がIT後進国になったのは「技術力の差」ではない…数多のチャンスをすべて潰してきた「著作権法」という闇