当面はイクメン強化、その後は、社会負担に

そこから先はどうすべきでしょうか?

もちろん、女性の負担はまだまだ減らすべきです。

ただ、それを男性に回していくと、今度は、「それなら子どもは要らない」という男性が増えるでしょう。

だとすると、ある程度まで男性の家事育児時間が伸びたところで、その先は、「社会」が女性の負担を軽くする方向に変わらねばなりません。今後しばらくは、男性の家事・育児負担強化を進め、その間に、社会全体が家事・育児を請け負う仕組みを、是非とも考えてほしいところです。

家事育児代行サービスの公的支援は「お寒い」

そのトップバッターとなるのが、ベビーシッターやハウスキーパーなどの家事育児支援サービスでしょう。お金の問題はさておき、まずは、こうしたサービスを使うことが「当たり前」であり、決して恥じる必要はないという意識の変革を促すような政策を打ってほしいところです(これも、やはり心の問題ですね)。

・欧米での家事育児支援サービス利用状況
・家事育児サービスで育った有名人
・家事育児サービスを使っている有名人

などを積極的に広報・配信するのも良いでしょう。

こうしたサービスを「嫁の努力不足」と見がちな老親世代に向けて、啓蒙けいもう的な活動をすることも有効だと思います。

と同時に、サービス利用時の助成を急拡大すべでしょう。

現在でも、国が主導で全国保育サービス協会が作られ、ここが、ベビーシッター料金の補助を行っています。協会に加入する企業の従業員に対して、1枚2200円分の補助チケットが配布されるのです。多くの家事育児支援サービスが、時間当たり2000~2500円程度の料金なので、2200円の補助はほぼ1時間分にあたります。

なかなか良い公的施策ではあるのですが、その予算規模は極めて小さい……。年間のチケット総配布枚数が39万枚しかありません。現在日本には、0~5歳児で約550万人もの子どもがいます。一人の子どもにつき、年に10回使ったとすると、利用総数は5500万回にもなります。39万枚というのは、2桁以上も乖離があるでしょう。

政府もさぼっていたわけではありません。年間配布枚数を急速に伸ばしてきました。ただ、この補助チケットの利用数が思うように伸びないといった「利用者側」の問題も大きそうです。一つは、こうした「外部」サービスを利用することへの戸惑いがあるでしょう。そしてもう一つは、このチケットが、加入企業を通して利用者に配布されることも問題なのかもしれません。チケットをもらいに総務部へ行ったとき、窓口となる社員から「そんなにもらって……子どもがかわいそうじゃないですか」と言われて、以後、使うのをやめた、などという話を取材で聞いたことがあります。

私は、こうした偏見や軋轢をなくし、爆発的に外部サービスが浸透する方法を、ここで提案します。

それは、「こども・未来保険」という社会保険の創設です。

チームを守る赤い傘
写真=iStock.com/Andrii Yalanskyi
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