家族構成、ライフスタイルの
変化に対応できる家に

さらに、家づくりは現在の家族構成やライフスタイルだけに合わせるより、今後の変化にも対応できるよう、柔軟に考えることをおすすめします。

例えば間取り。子どもが2人いるから独立した個室が3つある3LDK、と決めてしまうより、将来子どもたちが家を離れた時にもリフォームしやすいよう、簡単に変えられる間仕切りにしておく。あるいは反対に、子ども部屋部分を賃貸住宅に簡単にリフォームできるよう、あらかじめ設計する。

また、老後が長いいまの時代、将来その家からどこかへ移ることもあり得るでしょう。子育て期間は一戸建てがよくても、夫婦だけのシニアになれば、コンパクトなマンションや高齢者向け住宅などが便利になるかもしれません。そのときに、売ったり貸したりしやすい場所や品質、性能の家をつくることも、リスクヘッジの1つと言えます。

そして家づくりは、親や子ども世帯との同居を考える機会でもあります。東日本大震災をきっかけに、家族の存在、絆が見直され、近年3世代同居に前向きな30代、40代が増えているという報道もあります。先日私が取材した都内のリフォーム会社でも、結婚して1度は独立した子世帯が、親の家に戻って一緒に住むためのリフォームが増えているという話を聞きました。

社会人になり親の家から独立、自分の家を持つのが一人前の証拠(見栄)だった「1家族1住宅」の時代は終わり、イニシャル&ランニングコスト節約、家事や育児分担など、メリットも多い同居が見直されているようです。

加えて生涯未婚率が高まり、親の家に住んだままの独身の子どもも増えているため、親世帯に子世帯と独身のきょうだいも一緒に住むケースも考えられます。例えば2010年の国勢調査によれば、30代後半男性の未婚率は35.6%(30年前の約4倍)、60代が世帯主の家族は、夫婦のみの世帯を抜いて、親と単身の子どもで暮らす世帯が急速に増え、最多となっています。いまや「家族」といってもいろいろなかたちがある。その家族ならではのつながり方を考え、それぞれの家で新しい同居のスタイルを検討してみてもいいのでしょう。

最後になりましたが、現在新築や建て替えを検討している方の大きな関心事、消費税増税問題について。

5%の現行税率は2013年の9月末までに請負契約を結んだ住宅に適用されます。引き上げられる8%との3%の差は小さくないですが、そのためだけに家づくりが拙速になってしまうのは残念。少なくとも数10年は住む家族の生活基盤になりますから、十分比較検討をし、納得の家づくりをしてほしいものです。