東日本大震災がきっかけで
より安全な家が求められる

強い生活基盤としての家を求める人が増えたきっかけの1つに、東日本大震災があると思います。

住宅金融支援機構の「住宅取得時に特に重視するもの」の調査では、震災後「耐震性能」「立地」「耐久性」「省エネ性能」の各項目を重視すると答えた人が大きく増えています※。

耐震性能が高いことは必要不可欠ですが、これから土地を選んで新築するなら、立地条件も重要なポイントになります。候補にしている土地があるなら、過去の歴史を調べ、津波や土砂災害、浸水などの危険にさらされる場所でないかを確認しましょう。川や沼、池だった場所などはできれば避けたほうが無難です。

そのうえで満たしたいのが、断熱性能。いくら太陽光発電や省エネ家電を入れたとしても、屋根、床、壁や窓の断熱性が低ければ、エネルギーの垂れ流しになってしまいます。

ただ、石油ショックの後に普及した高気密・高断熱住宅は、換気機能に乏しく、新建材が多く使われたこともあり、シックハウス症候群などの問題も引き起こしました。そうしないためには、換気が確保される適切な間取り、設計であることが必要です。そして夏は日差しを遮り、冬は取り込めるような、自然エネルギーを最大限生かす建築が望ましいでしょう。

また、床、壁、天井などは化学物質を極力抑えた素材で仕上げるのが理想です。とくに床は毎日足で触れ、家具の移動や掃除機かけでキズもつきやすいので、多少コストがかかっても、上質なものを選んでおくと後悔が少ないでしょう。個人的な趣味も含めておすすめするのが、無垢板の床。足触りのあたたかさや、古びても味わいが出るテクスチャーは、合板フローリングとは比較になりません。予算が許すなら一考の価値ありです。

※平成24年度「民間住宅ローン利用者の実態調査」より

スマートハウスで
家計にも環境にもエコ

断熱性能を高めたうえで検討したいのが、近頃話題のスマートハウス。太陽光発電や燃料電池などでエネルギーをある程度自給自足、スマートメーターで電力などの需給を「見える化」した住まいです。進化形になると蓄電池を備えたり、ITでエネルギー需給をコントロールしたり。地域でエネルギーを制御しながら住むスマートシティーの取り組みも各地で始まっています。

これら設備機器のイニシャルコストはまだ高額な場合も多いですが、国や自治体の補助金が出るものもありますし、調べて活用しましょう。

イニシャルコストがかかったとしても、その後のランニングコストを低く抑えて暮らしたい。また、家計にやさしいだけでなく、CO2を出さず環境にもやさしい設備を取り入れたい。

そうした価値観の人が増え、国や自治体の支援策が市場の活性化を後押しし、スマートハウスを含めた次世代省エネ住宅への流れは今後、さらに進むと思います。