維新はなぜ台頭しているのか

日本維新の会が台頭していると言われるのは、「何をやりたいのか」がイメージしやすいからだと思います。「身を切る改革」「小さな政府」は、中曽根行革以来、日本の政治でずっと追い求められていて、特に中曽根行革は「成功」と受け止められました。「小さな政府は正しい政策」という刷り込みが、40年も続いているのです。

平成の政治とは、中曽根行革以来の「小さな政府」、民営化と自己責任、そして「身を切る改革」は正しいことだ、という昭和の終わりの成功体験を引きずったまま、対抗する選択肢を示しきれなかった政治です。

立憲民主党の方向性は真逆です。「まっとうな政治」を前提に公共サービスを充実させて「まっとうな社会」「まっとうな経済」をつくり、「まっとうな未来」につなげていきたいと考えています。

衆院議員の枝野幸男氏
撮影=門間新弥
衆院議員の枝野幸男氏

公共サービスが「いつでも安価」に手に入る社会

「まっとうな社会」のイメージは「どんな人でも困った時に、すぐに必要なサービスを手に入れられる」ことです。保育を例に取れば「子供を預けたい」と思ったら、どんな人でも少ない負担ですぐに預けられる、ということです。

そのためには保育所や、保育に携わる人材を増やす必要があります。でも、利用料金が高ければ、サービスの恩恵を受ける人は限られてしまいます。

立憲民主党は今年取りまとめた「もっと良い『子ども・子育てビジョン』」の中間報告で、「幼児教育・保育から高等教育までの教育の無償化」「公立小中学校の給食の無償化」を打ち出しています。

公共サービスとしてイメージしやすいのは保育、医療、介護などですが、私はさらに「教育」「交通」「住宅」も加えたい。生きていくのに不可欠なものだからです。

例えば教育。大学に行くのに多額の借金(奨学金)が必要なのは、教育が公共サービスとして提供されていないからです。高等教育を公共サービスと位置づけます。

それから交通。高齢化が進み、自分で運転できなくなった人が増えた時、こういう人たちの移動の自由を守るのは、公共サービスであるべきです。高齢者がバスに乗る時に無料パスを発行している自治体がありますが、ほかに「病院に通うタクシーの無料券を発行する」という考えもあります。

さらに住宅です。中曽根行革以来、公共住宅はどんどん減らされています。新たに公共住宅を建てなくても、行政が既存の住宅を借り上げて、生活保護の人などに安価または無償で提供すればいい。

実は災害対策も公共サービスです。例えば、首都直下型地震が起きた時、首都圏の何千万人もの人たちが1週間程度は生活できる「備え」を用意する。これは公共サービスです。

「公共」の概念は広がっています。「小さな政府」では、災害の時に自己責任を求められ、とても生きていけません。このことを国民の皆さんに知ってほしいです。