結果としてパフォーマンスが上がった

確かに100メートル走のスピードでは長距離を走り続けられない。それと同じで気を張り続けたままでは仕事は長続きしない。

「働き者」としてたとえられるアリも、集団のうちの一定数は怠け者なのだそう。しかしその一定の怠け者は、不意に天敵が現れたときなど危機のときには力を発揮する。常にすべてのアリが100%、120%の力を出し切っていたら、集団のピンチを救えません。この意味でも常に余力があるというのは大事なのでしょう。

折口氏から「社員は70点取れれば合格とする」という話を聞いてから、僕も自分の会社のスタッフたちに「70点でいいよ」と言うようにしました。仕事時間も営業成績も、頑張り具合も、自分で70点ぐらいは取れているなと思ったら、それでOK。

すると仕事に対して自分なりの工夫をしたり、新しいアイデアを提案してくれたりするスタッフが増えだしたのです。

気持ちの余裕が生まれて、職場の雰囲気も柔らかくなったのです。

仕事は70点思考──。

これは個人でもぜひ取り組むべきです。ストレスから解放され、家族との時間も確保できて、仕事の量と心のバランスがちょうどよくなるのです。

結果パフォーマンスが上がれば、それは収入アップにも繫がる。つまり「70点思考」で仕事をすることは、お金の引力を高めることにも繫がるのです。

異業種交流会に通っても本物の人脈はできない

もうひとつ、平均年収が超えたら考えたい仕事の姿勢は、真の人脈づくりです。

「仕事をする上では人脈が大事」とは、よく聞くでしょう。確かにその通りです。

仕事もお金も運も、基本的にすべては人が運んでくれます。これを聞いて新たな人脈開拓にせっせと励む人も多いでしょう。

たとえば異業種交流会などに参加して名刺交換をしまくる人。

だがここはハッキリと言っておきましょう。異業種交流会は、基本的に仕事を求めている人たちの集まり。そこへ行くのは、草原に群れるハイエナ集団の元に飛び込むようなもの。そこで素晴らしい人脈を手に入れたという話を僕は聞いたことがありません。

名刺交換をする人たち
写真=iStock.com/DIPA
※写真はイメージです

僕の知り合いの編集者も、かつては異業種交流会に足繁く通ったそうだが、結局なんの収穫もなく時間と体力の無駄だったと嘆いていました。

仕事、お金、運と同じように、人との縁も人が繫いでくれる場合が多いのです。

つまり人脈がほしいなら、今縁のある人を分け隔てなく大切にすることが大事。

この人は自分に利益をもたらしてくれそうだ、この人は何ももたらしてくれなさそうだなどと考えず、一人ひとりに気を配り大事にする。

そのためには常に対人能力を伸ばす努力をしよう。人と上手に付き合うためには、コミュニケーション力は欠かせない。またどんな仕事でも、コミュニケーション力があって損をすることはありません。