手放しで勧められない

しかし、私はスカイデュオを手放しで勧められる物件とは思いません。

まず最寄り駅からのアクセスに難があります。都営大江戸線の勝どき駅から徒歩16分~21分となり、利便性は決してよくありません。東京都が2040年までの開業を目指し、東京駅と臨海部を結ぶ地下鉄新路線の事業計画案を発表しましたが、計画通りに実現するかは不透明です。

新たに駅近マンションが販売されれば世間の興味はそちらに移りますので、次の買い手を探すことは難しくなるでしょう。

購入してすぐの売却であれば儲かるかもしれませんが、将来にわたって資産価値が維持されるほど魅力的なマンションなのだろうか、という疑問があります。

タワマンの魅力である抜けるような眺望が望めない住居も少なくありません。立地上、複数マンションに囲まれる「お見合い」状態になっているからです。

購入者の質も懸念されます。晴海フラッグは国内外の投資家も多数参戦しています。投資家は自身の住まいではなく転売が目的ですので、割安な住戸を購入し数年間は分譲賃貸として運用を続け、タイミングをみて売却します。そのため、将来的には中古物件が市場に溢れることが予想されます。

国内投資家よりも、外国人投資家の方が所有期間は短くなり、さらには為替相場の変動にも敏感です。

現在の円安局面から円高局面に相場反転することがあれば、利回り悪化による売り抜けの競い合いが始まるかもしれません。不動産価格は、需要と供給のバランスで形成されます。

売却時期が重なれば、晴海フラッグを含めた晴海地区のマンション価格は暴落するリスクがあります。一般の方が手を出すには難易度が高いように思います。

不動産価格の下落のイメージ
写真=iStock.com/Andrii Yalanskyi
※写真はイメージです

大規模修繕にかかるお金は不透明

また近年はタワマンの雨漏り事例が増えています。特に深刻なのは湾岸エリアのタワマンです。普段から強い潮風や塩分を含む雨にさらされており、内陸タワマンよりも外装シーリング材の劣化スピードは速いと考えられます。

雨漏りを放置していると、建物のみならず健康被害も心配され、資産価値は大きく下落することになるでしょう。

「大手デベロッパーの発売だから管理に問題はないのでは」と考えるかもしれませんが、そうとも限りません。

タワマンの本格的な普及は2000年代に入ってからですので、比較的新しい建物形態です。

建物の耐久性に関しては、まだわかっていないことが多く、タワマンの大規模修繕についても実施例が少ないのが実情なのです。