成功しても失敗しても「実践者」になれる

もしDXに本当に取り組むべきだと考えるのなら、ぜひ、積極的にリスクを背負って取り組んでほしいと思います。あなたが経営者なら、今すぐにリスクを引き受け、DXを推進する決意をしてください。

管理職なら、今すぐ社長に自分の考えを伝えてほしいと思います。担当者なら、まずは仲間をつくり、皆で上司に提案することをおすすめします。

従来の仕事と比べると、異質な行動になってしまうかもしれません。周りから睨まれることもあるでしょう。しかし、会社にとって本当に必要だと感じるのなら、一切躊躇することはありません。

成功しても失敗しても、日本の数少ないDXの実践者になることは間違いないのです。たとえ失敗してその会社に居場所がなくなったとしても、信念を持ち、リスクを背負ったことのあるDXの実践者は、今も、そしてこれからも必要な人材です。確実に、周りから求められる人材になるでしょう。

キャリアの始まりは富士通のエンジニアだった

私自身もこれまで、積極的にリスクを引き受け、色々なことに挑戦してきました。今振り返ると、チャレンジしてきて本当によかったと感じています。

31歳のとき、エンジニアとして軌道に乗っていた生活を捨て、富士通からソフトバンクに転職しました。当時のソフトバンクは、まだまだベンチャー企業です。しかも、経験のない営業職にチャレンジしました。執行役員になってからも、その地位に固執することなく、自らベンチャー企業を立ち上げました。

おかげさまで40歳になる頃には、普通に仕事をしているだけでは得られない経験をすることができました。その後の自分の「柱」とも言える基礎を築いたとも思います。

41歳のときに経営していたEC会社は、資本移動するかたちでセブン&アイ・ホールディングスグループに移籍しました。日本有数の小売りグループで「リアルとネットの融合」、今で言うところのDXの実現を目指したわけです。