大学生は自由を謳歌していればよかったが…

つまり日本では「大学で何を学んできたか、より入試の偏差値が高い大学に入学する人が優秀」というアンコンシャス・バイアスがあるのです。アメリカでは、修士号、博士号をもっているのが高学歴者で、有名大学でも学部卒は高学歴とみなされません。

日本のほとんどの企業では、学生が大学時代に学んできたことと、社会人になってからの仕事に関係がないということも問題です。

ちなみに、学歴と関連して「進学した後、大学で何をするか」というとらえ方も変化してきました。20〜30年くらい前までの日本の大学では、「厳しい受験戦争を乗り切ったのだから、あなたの優秀さは証明されました。その後4年間はサークルや部活動など好きなことをしてください。仕事に必要な知識は入社してから職場で教えます」といった風潮がありました。

「大卒」だけではライバルと差別化できない

が、今はそうではありません。

そのように変化した背景には企業が丁寧に教育・訓練する余裕がなくなったことと、大卒の人間が増え、ライバルが多くなったことがあります。「資格を取ろう」「スキルをつけよう」というように、大卒という資格に、さらに付加価値をつけようとする学生が増えてきています。学生のうちから企業のインターンに参加し、就業経験を積む学生も多くなっています。

このように学歴に関するアンコンシャス・バイアスは、少子高齢化で大学全入になっている現実を反映してどんどん変わってきました。そして今後も変わっていく、ととらえたほうが良いと考えています。

最近では一般入試より前に行われる推薦入試などで入学する学生も増えています。今後、偏差値は意味をなさなくなるでしょう。日本の有名校へ進学することが必ずしも正解ではない、そんな時代が来るのかもしれません。

大切なのは情報をきちんと集め、「今後の社会で何が求められているか」「自分はどんなことが得意なのか」を考え、勉強していくことではないでしょうか。

アンコンシャス・バイアスから脱却することは、生き方の多様性を広げることになります。学歴信仰にまどわされることなく、自分らしい生き方をつかんでほしいと思います。