上皇陛下が持ち帰ったブルーギル

さて、桜沢池のかいぼりは、18年12月15日に実施となった。

採れる魚は、多くがその年に生まれたブルーギルだ(写真3)。

ブルーギルの成魚。エラ蓋の一部が濃い青色なのが名の由来
【写真3】ブルーギルの成魚。エラ蓋の一部が濃い青色なのが名の由来(出所=『絶滅危惧種はそこにいる』)

すくうたびにギル、ギル。

最小のものは10円玉より小さい稚魚だ。明らかにこの池で繁殖している。なんと全部で2831匹も採れた。

ブルーギルは、北米原産の外来種だ。1960年、当時の皇太子、明仁親王(現上皇)がアメリカを訪れた際にシカゴ市長から贈られ、15匹を日本に持ち帰ったという。

それが皇居内の池や静岡県の一碧いっぺき湖に放流されたのを皮切りに、徐々に放流エリアが広がっていった。

バス釣りのためにブルーギルを放流

さらにそれを全国の隅々まで広げたのがバス釣りの流行だ。

「ブルーギルはオオクチバスの餌として良いので2種をセットで放流するべし」ということで、釣り関係者が全国の水辺に放流した結果、ここ狭山丘陵の池にもブルーギルが生息することになった。

桜沢池のかいぼりでは、オオクチバス、ブルーギル、コイの3種については根絶させることに成功した。

今後、ウシガエルとアメリカザリガニが急激に増える可能性があることは経験済みなので、これに気をつけながら管理していけば、在来種の棲む池へと変えていくことができるだろう。

絶望的と言えるほどの結果ではあったが、逆に言えばこれ以上落ちることはないし、今後は良くなる一方ではないか。このときはそう思っていた。