販売店から勧めてもらえない状況に…

KINTOの人たちがサブスクを売るために力を注いだことは、次の3つです。

1.丁寧な説明
2.協力者の理解
3.商品のメリットを丁寧に訴求する

新事業を始める人、社内ベンチャーで新事業を立ち上げた人たちにとって学ぶところの多い話です。

小寺さんはこう言います。

「最初は名前を覚えてもらわなければならないからテレビCMをやりました。そうすると、KINTOの名前だけは聞いたことがある状態になります。名前を聞いた人たちは販売店に行って『それで、KINTOってどうなの』とたずねる。すると、当初は『やめといたほうがいいですよ』という反応が多かった……。

私たちも販売店の人となじみがなかったし、先方もそうでした。新商品について、販売店の人もよくわからないから、『KINTOより、通常の自動車ローン(残価型割賦)契約がいいですよ』と勧めるところが多かったんです。

そこで、これは販売店の人たちにまず理解してもらわなくちゃいけないなと思い、丁寧に説明することにしました。

『KINTOはトヨタから直接、クルマを買うわけではなく、販売店から買うんです。メンテナンスはお客さまが車を買った店が担当するんです』

そういう説明をしてからはわかってくれるようになりました。新事業を始めたら、とにかく丁寧な説明です。わかっているのは自分たちだけなんです。周りも世間の人も新事業については何ひとつ知らないと思って、丁寧に説明を繰り返すんです」

人気の中古車が確実に手に入るメリット

では、ひとつ聞いてみました。

「今、販売店にとってはサブスクを勧めるメリットにはどういったものがありますか」

小寺さんは次のように答えました。

「はい、まず販売店にとってのメリットですけれど、今なら中古車が確実に返ってくることでしょう。契約期間が終わったら、中古車が全部、返ってくるわけです。現在、半導体の不足で新車の納車が遅れているため、中古車も人気です。中古車の数も足りないのです。そして、この傾向はまだ続きます。ですから、販売店にとっては中古車が戻ってくるのは大きなメリットなのです。

お客さまは販売店の下取り価格と中古車業者の買い取り価格を比べるので、販売店にとっては、お客さまのクルマがすべて手に入るわけではないんです。特に人気車種は中古車業者が高値買い取りをオファーすることが多いから。

車のキーと札束の交換
写真=iStock.com/Nattakorn Maneerat
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