2010年12月25日(土)

好調「喫茶チェーン」がご飯ものを置かない理由

コメダ珈琲店編(1)

PRESIDENT 2010年11月29日号

著者
野地 秩嘉 のじ・つねよし
ノンフィクション作家

野地 秩嘉

1957年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業。美術プロデューサーを経て作家へ。『キャンティ物語』(幻冬舎文庫)など著書多数。監修・構成した『成功はゴミ箱の中に』(プレジデント社)が10万部のベストセラーになる。

執筆記事一覧

野地秩嘉=文 山口典利=撮影

不況をものともせず伸びているのが名古屋発の喫茶チェーン「コメダ珈琲店」である。10月末現在、全国に387店舗を展開しているが、うち直営は6店で、残りはフランチャイズである。そのため正社員の人数は少なく、本社、工場合わせても79人だ。

名古屋では認知率95%の喫茶チェーン。現在、首都圏や関西圏にも出店し、好評を得ているという。
写真を拡大
名古屋では認知率95%の喫茶チェーン。現在、首都圏や関西圏にも出店し、好評を得ているという。

コメダ珈琲店は年中無休で毎朝7時から夜11時まで(名古屋市内葵店の場合)。本社で働く人は午前7時45分の始業前に出勤し、社屋と本社周辺を掃除する。朝礼の開始は毎朝8時で、全員がひとことずつ話す。

コメダがなぜ人気を博しているかといえば、他の喫茶チェーンや流行りのカフェとは明らかな違いがあるからだ。社長の布施義男氏は「うちはコーヒーの味を大切にします。そして、お客さまにくつろいでいただくことを最重要に考えています」と言う。

確かに、コメダは店の造りが贅沢だ。真っ赤なベロア生地のソファはふかふかで、ゆったりと腰掛けることができる。そして、たとえ4人がけの席にひとりで座っていたとしても相席をさせないのがコメダのやり方である。

朝11時まではコーヒー1杯の値段でトーストと茹で卵がサービスされる。食事メニューも豊富で、ハンバーガー、海老フライ、ピザと揃っており、ボリュームたっぷりだ。布施社長は語る。

「うちは流行の店ではありません。名古屋では42年前から同じように営業し、親子3代にわたってご利用くださっている方もいらっしゃいます。また、食べものメニューはたくさんありますが、ご飯ものとパスタは置いていません。コーヒーの味に合わないからです」

コメダでは、友人と話をしたり、読書に集中するひとり客が目につく。スタイリッシュではあるが気ぜわしいエスプレッソカフェより、ノスタルジックな昭和の匂いを求める客がコメダを愛しているのだろう。

PickUp