メッセージアプリは学力の押し下げ効果が大きい

LINEは一時、いじめの要因の1つになっていると報じられたことがありました。LINE登録者から、たとえば5人をピックアップしてグループをつくると、5人のうち1人に当てたメッセージは同時に自分以外の残り4人に届く。このグループ機能は、じつは仲間はずれ機能の裏腹だ、というのです。

LINEに代表される「インスタント・メッセンジャー」は、学力の押し下げ効果が大きいとわかっています。私たちがその悪影響を説明するときに使ったのが、先ほどからお話ししている「スイッチング」です。

LINEだけを30分、1時間とやっている人がいないとはいいませんが、どちらかといえば、勉強したり食事したりテレビを見たり家族と話したりする生活のなかで、インスタント・メッセンジャーが飛び込んできて、それに気を取られてしまう。急いで返信しなきゃと慌ててしまう。こういうことが問題だろう、と私たちも思っていました。

ただし、最近の若い人はLINEを使わなくなってきているようです。LINEユーザーは中高年が中心です。若い人はインスタグラム(Instagram)などの情報発信がメインで、LINEをうっとうしいものと思いはじめているようです。

最近、いじめに使われているのでは、と問題視されているのは、政府が「GIGAスクール構想」(学校現場での1人1台端末と高速通信環境の整備を推進)で小中学生に配ったデジタル端末です。勉強にしか使ってはいけないことになっていますが、これを陰で使ったメッセージのやりとりでしょう。

スマートフォン画面を表示する人の手
写真=iStock.com/bee32
※写真はイメージです

モニタを長時間見つめ続けると、脳はダメージを受ける

スマホが有害な理由として、スイッチング以外に、「スクリーン・タイム」そのものが問題なのだ、とする主張もあります。

これは、スマホでSNS、ユーチューブ視聴、ウェブページ閲覧、ゲームなど何をするかは問わず、デジタル・スクリーンで作業したり遊んだりする時間が長くなればなるほど悪いことが起こる、という見方です。

本書では、スクリーン(モニタ)がスマホのように小さければ小さいほど、脳は同期しにくくなり、コミュニケーションで共感を得ることも難しくなるだろう、と申し上げましたね。そんな小さな画面を長時間見つめ続けるのは、たしかに問題でしょう。

スマホでは、スイッチングの問題とスクリーン・タイムの問題のどちらもからまって非常に悪い影響をもたらしているのだろう、と私は考えています。

どちらか一方がより悪い、と結論づけることは意味が薄いでしょう。