中学受験で勉強を無理やりやらせていた家庭の末路

子供が中学受験をする家庭の親から受ける進路相談で「ウチの子は付属校向きでしょうか? それとも付属校には向かないタイプでしょうか?」と聞かれることがある。かなり漠然とした質問で答えるのに困るが、あえて言うならば、付属校に向いている子はマジメにコツコツと勉強ができる子だと感じている。中学受験の勉強を通して身に付けた学習の習慣を維持できる子だ。

ただ、そういう子は付属校に限らず、どこの学校へ進学することになってもうまくやっていけるだろう。一方、同じように付属校に限らず、中学に入学してから成績が伸び悩み、深海魚になってしまう子がいる。

両者の違いは何か。

それは、これまでの勉強のやり方に問題があると、私は確信している。

息子に何かを言い聞かせている父親
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中学受験はわずか10〜12歳の子供が挑戦する受験だ。そのため、子供の力だけで進めていくのは難しい。そこで親がある程度、手綱を引くことになる。だが、その引っ張り方を間違えてしまうと、あとあとまで悪影響を及ぼすことになる。

深海魚の子供たちは、中学に入った時点ですでに勉強に疲れ、勉強嫌いになっていることが多い。

「これをやれ! あれをやれ!」
「なんでこんな問題が解けないんだ!」
「あなたの将来を思って言っているのよ」

と、極端な叱咤しった激励を受け、親から無理やり勉強をやらされてきたからだ。中学受験をするからには、子供本人も勉強をしなければいけないことは分かっているし、自分なりに頑張ってもいる。しかし、親からは褒められることも、認められることもなく、たくさんのタスクを渡され、それができないと叱られる。そんな日々が続くと次第に無気力になり、自分で考えることをやめてしまう。そして、ただただ親から言われるがまま勉強するようになる。

そうやって受験勉強をしてきた子は、入試では合格できても、すでに息切れ状態になっていて、中学に入った途端に勉強の習慣を放り投げてしまう。しかも、親の強制力がきかない年齢になっている。そして、一年もすると真っ暗闇の海の底をさまよう深海魚になっているのだ。