NHKは、23年度末に衛星放送のチャンネルを整理する予定で、ハイビジョン画質の「BS1」と「BSプレミアム」を統合した新チャンネル「新BS2K」をスタートさせ、高精細画質の「新BS4K」(いずれも仮称)と同じ番組を流す「サイマル放送」を実施する。これにより、番組制作費の大規模な抑制につながることが見込まれる。

NHKと民放が共存する「公民二元体制」をとる日本の放送事情を鑑みれば、受信料という安定財源をもつNHKは、景気に左右されやすいCM収入に頼る民放ではままならない報道やドキュメンタリーに注力すべきで、民放と似たようなエンターテインメント番組やスポーツ番組を放送する意義は小さい。

従来の番組を少し整理するだけでも、制作費や人件費が浮き、さらなる受信料の値下げ原資を確保できるのではないだろうか。

そもそも「公共放送」「公共メディア」とは何かという原点に立ち返れば、もっと劇的な経営改革やスリム化に行き着くに違いない。

NHKは誰のための放送局なのか

NHKに対する最大の批判は、今も昔も「政権寄り」であるということ。

最近では、東京五輪ドキュメンタリー番組の字幕捏造ねつぞう事件や、安倍晋三元首相暗殺事件に絡んだ旧統一教会の消極的報道など、枚挙にいとまがない。

だが、岸田文雄内閣の支持率は3割を切り、自民党の政党支持率も4割程度で推移したまま。国民の過半が、政権も自民党も支持していないのである。

だからこそ「みなさまのNHK」は、「政権寄り」というレッテルを、自らはがそうと努めなければならない。そうでなければ、「ネット受信料」の創設など、国民に受け入れられるはずもない。「公共放送」から「公共メディア」への脱皮もままならないだろう。

さまざまな意見をもつ国民が等しく受信料を払っている以上、政治に翻弄されるNHKなど、だれも見たくはない。

NHKは、真に「公共財」であることを求める声が少なくないことを、肝に銘じ、実践してほしいものだ。

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