「美」の基準が狭すぎる日本

以前、有名芸人さんの番組にプラスサイズモデルが出演していて「デブモデル」とひどい言葉をかけられるのを見て「私ならどんなふうにいい返すだろう?」と真剣に考えたのを覚えています。

そもそも日本では「美しい」とされる体型の範囲が狭く、体型的にも細すぎるように感じます。

リボンで縛られたミロのビーナスの胴体部分のレプリカ
写真=iStock.com/lambada
※写真はイメージです

フランスでは若者の摂食障害の誘因になるとして、2017年より瘦せすぎたモデルの活動が禁止される法律が施行されました。モデルは活動の際に、BMI(※)が低すぎないことや「健康」であることを医師によって証明することが義務付けられるようになりました。具体的な基準の明記は見送られましたが、世界保健機関の基準ではBMI18.5未満は低体重と定義されています。

しかし、日本では女の子の体重の基準として「シンデレラ体重(BMI18)」や「モデル体重(BMI17)」という言葉が使われていたり、「夏までに水着が似合う体型になるようにダイエットしよう」というような広告が普通にあったりします。こうした国では標準体重でも自分はきれいではないと思ってしまうでしょう。ましてや私のような体型をしていると、「自分は醜い」と思ってしまい、自己肯定感はどんどん下がっていきます。いまのように、「自分が大好き!」「私はありのままで素敵!」と自信をもって、自分を表現することなど不可能だったと考えるわけです。

※体重kg÷(身長m)2で算出。身長160cmの場合、標準体重は56.3kg、シンデレラ体重は46.08kg、モデル体重は43.52kgとなる。

中学校時代は太っていることでいじめられた

実際、日本にいる間は、自分のことが大嫌いでした。

13歳くらいで太り始めて10年以上、親や親族、ときには友人からも「あなたは太っている」「もう少し痩せないといけない」と体型についていわれ続けました。親はいじわるをしていたわけではなく、「女の子はかわいくないと人生を楽しめない」と心配していたのです。でも、ダイエットをしてもなかなか痩せられない私にとっては、心配の言葉もつらかったです。

もっとも苦しかったのは、中学でいじめに遭ったときです。

「デブ」「ブス」という言葉を何度もかけられました。どうしても学校に行きたくなくて、精神科医の先生に診断書を書いてもらい、半年ほど家に引きこもって過ごしたこともありました。登校を再開してからは保健室通いでしたが、それでも時々休んでしまうほど、学校に行くのは苦痛以外の何ものでもなかったです。