なぜ日本の会社では「ムダな会議」が繰り返されるのか。元国税調査官で、コンサル会社を経営する久保憂希也さんは、「その原因は、日本人の『数字力』の弱さにある」という。著書『数字が苦手な人のための いまさら聞けない「数字の読み方」の超基本』(アスコム)からお届けする――。
会議室で会議中のチーム
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数字に「強い人」と「弱い人」の違い

「あの人は数字に強い」という言い方をすることが、よくあります。

国税調査官から東証一部上場企業の経営企画部門(財務担当)に転身し、コンサルタントを経て経営者になった私は、これらの肩書だけで「数字に強そうですね」と言われたりします。

しかし、考えてみれば、「数字に強い」とはよくわからない表現です。簿記を知っているとか、計算が速いとかであればわかりますが、“数字に強い”とはいったい何を意味しているのでしょうか?

私は、数字に強い人とは「数字力」のある人のことだと思います。数字力とは、数字を使って意思決定への筋道を立てる力のことです。これは、どんな仕事をするうえでも最も本質的で重要な能力です。

そのためには、仕事の問題を何でも数字で置き換える癖をつけることや、生活の中で数字を意識したり、数字で考えることを習慣にしていくことが必要です。そうすれば、誰でも仕事で使える「数字力」を身につけることが可能です。

日本の企業から「ムダな会議」がなくならないワケ

私はさまざまな会社の会議に出席してきましたが、たまに何時間もえんえんと終わらない会議をする会社に遭遇することがあります。実際、多くの人が経験しているのではないでしょうか。

終わらない会議はなぜ終わらないのか。
それは、数字をうまく使っていないことに原因があります。

ものごとの量的な側面に着目して数字を使って分析することを、「定量的」に分析するという言い方をします。それに対して、質的な側面に着目して分析することを、「定性的」に分析するといいます。