検査を多数受けるほどいいわけではない

以上のことから、がん検診は受ければ受けるほどいいわけでないことをご理解いただけたと思います。他のあらゆる医療行為と同じく、がん検診にも利益だけでなく害もあるのです。検査そのものの害だけではなく、偽陽性や過剰診断によって不要な検査や治療を行うという害もあります。また、がんが発見できること自体は利益ではなく、がんによる死亡率が減ることが利益です。

しかし、がん死亡率の減少といった利益があるかどうか検証されていないがん検診でも「手軽にがんを発見できる検査は受ける価値がある」と消費者が誤解していればビジネスになります。検証をしなくても、いや、むしろ検証をしないほうが儲かるのは、高額な対価をとりながら効果のはっきりしない「がん治療」を提供する自費診療クリニックと同じ構造です。学会や医学雑誌で専門家を相手にするのではなく、より多くの消費者を誤認させる方向へ努力が傾けられます。

医師の説明を受けると女性患者
写真=iStock.com/Chinnapong
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幸い、日本では有効性が高いことが十分にわかっているがん検診は自治体から補助が出ることが多く、無償または少ない自己負担額で受けることができます。高額な自費診療のがん検診を受けても、必ずしもその値段に見合った効果は得らないばかりか、思わぬ害が生じるかもしれないことを知っておきましょう。

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