駅伝やマラソンなど長距離を専門とする女子ランナーは、寮生活で健康管理を受けることが多い。しかし、それが功を奏するとは限らない。スポーツライターの酒井政人さんは「『体が軽いほうが速く走れる』と信じて疑わない指導者がいまだに多い。体重チェックを繰り返すような過剰な管理に耐えられず、精神的にまいってしまう選手もいる」という――。
女性のランナー
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女子駅伝の強豪校ほど選手がガリガリである理由

中学、高校、大学の運動部・体育会には独自のしきたりや文化がある。衣食住をともにする寮生活は、その最たるものだ。

そうした閉じた世界の慣習の中で、とりわけ長距離を中心とした陸上部の女子ランナーがひどく嫌うものがある。それは指導者による「体重チェック」だ。ある元女性選手は「食べることが罪みたいな感じだった」と振り返るほどで、女子ランナーには過度なストレスとなっている。

日本摂食障害協会アンバサダーで元マラソン日本代表の原裕美子さんも現役時代の過度な体重制限により、過食嘔吐を繰り返した。現役引退後も体重制限のストレスの影響による摂食障害と窃盗症に苦しみ、スーパーなどでの万引きが止められなかった。

女子ランナーの過酷な体重制限の実態はあまり知られていない。

女子チームの多くは、体重をチェックすることで、選手たちを“管理”している。身長などから設定体重が決められており、それよりも多いと、罰金をとる実業団チームもある。指導者が、体重が重すぎる選手を問題視する理由は後述するが、いずれにしろ、罰則と説教を受ける。その両方が怖いために、多くの女子選手は、「測定日」に合わせて体重を調整することになる。

ある駅伝強豪高校では監督夫人が食事を手作りしており、朝・晩は寮で食べて、昼はお弁当を学校に届けてもらっていた。体重測定は1日2回あり、1回目は起床直後で、2回目は夕方の練習後。“問題”は日々の食事にあった。朝・晩の食事は残さないように先輩たちから厳しく指導されていたからだ。

幸い、監督は体重に関してさほど厳しいことを言わなかったが、選手からすれば「どうやって体重を管理するんだよ」という気持ちになるだろう。

高校駅伝を取材していると、強豪校ほど選手たちはガリガリな身体をしている印象がある。強いチームは寮生活をしていることが多く、日々の食生活も指導者が管理している。もちろん、体重チェックもあり、なかには故障をするとサラダしか食べさせてもらえないというチームもあるという。