日本生命が多額の資金を投じて計画してきた「新統合戦略」がいよいよこの4月から始動する(※雑誌掲載当時)。ITインフラを刷新、新商品やサービスを投じ、職員の働き方も変えるというこの新戦略について社長にインタビューした。

――社長就任からおよそ1年が経ちました。東日本大震災などもあり、激動の1年だったと思いますが、率直な感想をお聞かせください。
日本生命社長 筒井義信 つつい・よしのぶ●1954年、兵庫県生まれ。兵庫県立神戸高校、京都大学経済学部卒業。77年日本生命保険入社。長岡支社長、企画広報部長などを経て、2004年取締役・総合企画部長に就任。常務執行役員、専務執行役員などを経て、10年代表取締役専務執行委員。11年4月に社長就任。

筒井 本当にいろいろなことがありました。とくに東日本大震災と、リーマンショックから連鎖的につながってきた金融危機。この2つは、とても深く印象に残っています。

大震災では、被災地での生命保険会社の職員の献身的な活動を様々なところで評価していただききました。生命保険会社には、お客様の安心を守る、あるいは安心を最後までお届けするという使命があります。現場の職員の活動を目の当たりにして、このような使命感が広く、そして確かに浸透していることが改めてわかりました。不幸ななかではありましたが、現場の強さを実感しました。

金融危機について言えば、日本生命には約50兆円の総資産があります。これだけの資産になるとグローバルに分散して運用することが必要になり、危機の火種になった欧州にも一定額の投融資をしています。今回のような危機に直面したときこそ、会社がいかに耐久力を持っているのか、つまりどれだけ自己資本を持っているのかということが大切になってきます。今回、自己資本の強化の重要性を改めて認識した次第です。

大震災と金融危機に関しては、冷静に対応することができたのではないかと考えています。この背景には、現場の職員の強い使命感や、揺るぎのない自己資本があります。これらは一朝一夕に築きあげられるものではありません。先人たちがつくりあげ、そして今の人たちが支えてくれるなかで、難局を乗り越えてきた、そういう実感を持っています。