(PANA=写真)

第4期 香港特別行政区行政長官 梁振英(Leung Chun-ying)
1954年、香港生まれ。元籍は山東省。香港理工学院建築測量学部卒、英・ブリストル理工学院(現西イングランド大学)に留学。97年香港返還後は、行政会議メンバーとして初代長官・董建華氏のブレーンを務めた。7月1日に行政長官就任。


 

「外で叫び抗議を行っている人も投票権があり、発言権がある」

3月25日に香港で行われた選挙で誕生した新行政長官の梁振英氏は、当選後の会見で選挙結果に不満の声をあげる市民にこう約束した。だが、その言葉を市民たちは信用していまい。長官選挙史上、最低得票率(60.9%)、最低の支持率(40.6%)、人望も最低の「三低長官」。「隠れ共産党員」とささやかれ、2003年の50万人デモでとん挫した香港基本法(ミニ憲法)23条に基づく国家安全条例制定(中国政府への反逆、国家分裂、転覆、扇動罪等の規定)を再び持ち出すのではないかと疑われている。梁氏は50万人デモ当時、「催涙弾による鎮圧を提案した」という噂もあり、あだ名は「腹黒い狼」なのだ。

ビジネス・産業界の親中派名士を中心とする選挙委員会による行政長官の間接選挙は、これまでも香港の民意を反映するものではなかったが、梁氏当選への中国介入はあからさますぎた。当初、官僚経験豊富で香港ビジネス界の信任が厚い唐英年候補が有利と言われたが、中国は「香港の核心的価値を守る」が口癖の唐氏より、党に忠実な梁氏を望んだからだ。消息筋によれば習近平副主席も香港ビジネス界のドン・李嘉誠氏を北京に呼びだし説得。李氏は拒否するも、結果は中国の思惑通りとなり、1国2制度の原則「港人治港」(香港人による香港統治)は今回、はっきりと「党人治港」(共産党人による香港統治)に変質した。

香港では17年に普通選挙導入が予定されている。実現すれば梁氏の冒頭の言葉は本当になるが、中国はその前に23条の立法化を望み香港の自由を脅かすかもしれない。新長官は中国の傀儡に徹するのか、あるいは2期再選を視野に入れた政治を行うのか。彼の任期は香港の命運を決する5年となる。