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自由民主党総裁 谷垣禎一(たにがき・さだかず)
1945年生まれ。東京大学法学部卒業後、79年司法試験合格。83年衆議院議員初当選。財務大臣、国土交通大臣を歴任し、2009年より現職。


 

野田佳彦総理を解散に追い込めるかどうか、命運をかけた戦いが続く。できなければ9月の総裁選で再選は難しい。消費税増税法案を成立させるかわりに解散を約束させる「話し合い解散」もあるが、約束を反故にされる可能性もあり、自民党にとってはハイリスク。腹を探り合おうと、2月、密かに野田総理と会談したが、マスコミにばれた。「談合」と批判され、対決路線に転じたものの、もともと消費税増税を主張していただけに、戦略を描ききれない混乱状態に陥っている。

東大法学部出身の弁護士。文部大臣を務めた父・専一の後継として1983年初当選。財務大臣や国交大臣を歴任するなどエリート街道を歩んだが、同じ派閥だった加藤紘一元幹事長が森政権に反旗を翻した際、「大将なんだから!一人で突撃なんてダメですよ!」と涙ながらに引きとめる姿が放映され、そのふがいなさも話題となった。エリートだがひ弱なイメージがつきまとう。「平時のリーダー」の枠を出ない。

愛妻家で、夕食は自宅で佳子夫人と取ることが多かった。夫人は大学時代ともに弁護士を目指した同志。才媛だが柔和で控えめ。時には谷垣氏を叱咤し内助の功で支え続けた。その夫人が去年6月に亡くなった。大きな支えを失い、仲間たちの激励に涙をにじませた。今、その悲しみを乗り越え、亡き妻に誓うかのように、「強さ」をアピールしている。野田総理が消費税増税法案を国会に提出し、党首会談を呼びかけたが、これを拒否。「土俵をつくったのに待ったはおかしい」と批判され、「国会の議論が先。待ったをしているとは無礼千万」と青筋立てて反撃した。

実は解散に追い込んでも、現状では勝利への道は険しい。「乱世のリーダー」への変身が必要だ。どこまで強くなれるか。亡き妻も見守っている。

(PANA=写真)