中身のある話題を探すほど会話のハードルが上がる

多くの人は、会話においてキャッチボールが生まれる話題を探そうとします。「最近どう?」「なにかおもしろいことありました?」「最近、なにかあった?」と、会話がはずむテーマを探そうと試みるのです。

しかしこうすると、会話のハードルが上がり、話しづらい空気をつくってしまいます。中身のある話題を探してコミュニケーションを取ろうとすればするほど、相手も「中身のある話をしないといけない」と考え、話す内容を選ぶようになるからです。お互いが肩肘を張った緊張状態となり、高い「会話のハードル」が出来上がってしまうのです。

「この人話しやすい」「話していて楽しい」と思ってもらえるような会話上手な人は、めちゃくちゃしょうもない、どうでもいい話を積極的に織り交ぜます。

・なんか今日、肌カッサカサなんだけど
・ちょっと見てくださいよ! ここ電波1本ですよ
・あっ見て、猫いる

こうした中身のない発言をすると、会話の心理的ハードルがグッと下がり、相手も発言しやすくなります。よくよく考えると、自然と会話がはずむような仲の良い友だちや、話しやすい先輩、一緒にいて落ち着く恋人との会話では、中身のない話が飛び交っていないでしょうか? じつはこれこそ、会話のハードルが下がりきった理想の状態です。

中身のない発言を織り交ぜているかどうか。このシンプルな差が「話しやすい人」と「話しづらい人」を分ける境界線だったのです。

ノブコブ吉村が「どうでもいい言葉」を叫ぶワケ

じつは芸人たちも、会話のハードルを下げるために、中身のない話を意図的に会話に織り交ぜています。たとえば、平成ノブシコブシの吉村さんは、他の芸人から「吉村が一緒だとやりやすい」と高い評価を受けています。この理由のひとつも、吉村さんが会話のハードルを下げてくれるからだと思います。

吉村さんは、よく番組の冒頭でどうでもいい言葉を大声で叫んだりしますが、それによって、話のハードルがグンと下がり、まわりが発言しやすくなるのです。反対に、冒頭からおもしろいこと、すごいことを言ってしまうと、良い発言をしないといけない空気になってしまい、ハードルが上がって発言しづらくなってしまいます。