YouTubeやSNSで「切り抜き動画」が人気を集めている。成蹊大学客員教授の高橋曉子さんは「時間効率を求める若者たちにとって、動画コンテンツは切り抜き動画や倍速で視聴するのが当たり前の時代になっている」という――。
ミレニアル世代の若者たちが並んで全員がスマホに目を落としている
写真=iStock.com/golubovy
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切り抜き動画トップ20の半数を占める「ひろゆき」

「50分のドラマは5分、1時間半の映画も10分で見る。あらすじさえ分かればいいから」。このような若者が増えている。「動画を短時間で効率よく見たい」というのは、多くの若者たちに共通する感覚だ。

若者たちは、ドラマや映画、YouTube動画をフルサイズではない状態で視聴している。その一つが「切り抜き動画」だ。切り抜き動画とは、公開されているYouTubeの動画を再編集して投稿した動画のこと。YouTube動画の中で要点のみを効率よく見られるため、人気となっている。

特に人気が高いのは、ひろゆきの切り抜き動画だ。2021年切り抜き動画チャンネルのランキングトップ20(BitStar調査)のうち、半分はひろゆき関連となっている。公式チャンネルの「ひろゆき, hiroyuki」は主に1~3時間の動画をライブ配信しているが、切り抜き動画ではテロップをつけるなどして5~20分程度で紹介している。

中でも1位の「ひろゆきの部屋【ひろゆき, hiroyuki】切り抜き」(2021年1月開設)はチャンネル総再生ランキングでも10位に入っており、ランク外の公式チャンネルよりも多く見られている。

2022年6月現在の総再生回数は8億5000万回。BitStarのランキングによると、2021年1~12月の総再生回数は5億5000万回だったので、この半年で総再生回数は3億回以上増えている。すごい勢いだ。一方、2016年に開設した公式チャンネルの総再生回数は1億4000万回である。

有名YouTuberやVTuberが切り抜きを許可するワケ

切り抜き動画は、元となる動画の投稿者に許可を得て、編集して作成する。収益は多くの場合、元の動画の作成者と投稿者で分けられる。切り抜き動画が増えれば増えるほど元の動画の再生数も増え、チャンネル登録者数も増えていく相乗効果が期待できるのだ。

一定のルールを設けた上で、切り抜き動画を許可するチャンネルも増えている。ひろゆきの他、ヒカルやホリエモン、中田敦彦や西野亮廣など、著名チャンネルが並ぶ。VTuberの切り抜き動画も人気ジャンルだ。ガジェット通信クリエイターネットワークなど、切り抜き動画を許可しているチャンネルの申請に関連するサポートを行っているところもある。

なお、権利者の許諾を得ないで作成した切り抜き動画は著作権法違反に当たる可能性があり、権利者の申請によって削除されることもあるので注意が必要だ。

ひろゆきの切り抜き動画を作りたいと考えた場合、「ひろゆきデータベース」で動画を検索し、自由に作成できる。収益の分配に関しては収益化できるようになってから連絡すればよく、ひろゆき本人と切り抜き動画作成者との収益配分率は50:50。つまり自由に切り抜き動画を作成できる環境が整っており、その効果でさらに人気が高まっているというわけだ。