アメリカに嘲笑される日本の食料戦略

なぜそうなったのかと言えば、アメリカの食料戦略のもと、主要穀物をアメリカからの輸入に依存する状況ができあがっていたからである。

つまり、もともとはコメの有数の生産国でありながらコメの関税を極端に低くして輸入を促進したため、コメ生産が縮少してしまっていた。

さらに各国の輸出規制でいざという時にコメを輸入しようと思っても、対応できなかったのである。

このように、アメリカが他国の関税を削減させてきたことによって穀物を輸入する国が世界的に増えている。

つまり、2008年の危機は、干ばつによる不作の影響というよりも、アメリカの食料戦略による「人災」の側面が強かったのである。

乾燥した砂漠の土地にあるリンゴ
写真=iStock.com/John Kevin
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日本もいずれ、こうした事態が他人事ではなくなるという基本認識がまず必要であろう。

ブッシュ元大統領も、農業関係者への演説では日本を皮肉るような話をよくしていた。

「食料自給はナショナル・セキュリティ(国家安全保障)の問題だ。皆さんのおかげでそれが常に保たれているアメリカはなんとありがたいことか。それにひきかえ、(どこの国のことかわかると思うけれども)食料自給できない国を想像できるか。それは国際的圧力と危険にさらされている国だ」といった具合である。

「そのようにしたのも我々だが、もっともっと徹底しよう」

といったトーンが一貫して感じられる。

ただし、括弧内は筆者が付け加えたものであるので留意されたい。