さて今回は、実際にフューチャーセンター・セッションを開催することを考えてみましょう。
野村恭彦●イノベーション・ファシリテーター。国際大学グローバルコミュニケーションセンター(GLOCOM)主幹研究員。富士ゼロックス株式会社 KDIシニアマネジャー。K.I.T.虎ノ門大学院ビジネスアーキテクト専攻 客員教授。 ©Eriko Kaniwa

フューチャーセンター・セッションは、論理的分析だけでは解決できない複雑に絡み合った問題に対して、「未来志向」と「対話」、そして「プロトタイピング」のパワーでブレークスルーする場です。「正しい答えを見つけよう」というよりも、その問題をブレークスルーするための突破口を見つける心構えを持って臨みます。なにしろ、「複雑な問題」にはシンプルな最適解は存在しませんから。

今までと違う発想で、今までと違うステークホルダーと一緒に問題にアプローチ(対話)し、小さな穴(仮説)を見つけたら、そこを皆で掘って(プロトタイピング)みて、ダメならその次と、突破口を皆で探していきます。確かめるためには行動してみなければならない時もありますので、そのような時はフューチャーセンター・セッションを月に一回開催し、その間に調査や実験をしてみる、ということも効果的です。

ブレークスルーをしていくためには、多様な視点を持ち込み、常識にとらわれずお互いの話に真摯に耳を傾けることが大事になります。次に重要なことが、遊び心(Playfulness)です。「こんなことしてみたらどうなる?」といった、突飛なアイディアがチームのダイナミクスに刺激を与えます。強制発想的に、短時間でアイディアを目に見える形にプロトタイピングする、というセッションも効果的です。頭だけでなく、身体や五感を使って発想することで、ブレークスルーにつながることもあります。