方針2 素敵な環境を用意する

赤ちゃんは、自分で自分を育てることをご紹介しました。でも、その時、身の回りに自分から働きかける物が何もないと、“学習”ができなくなってしまいます。

散らかるのがイヤだからと、ほとんど物を置かずに暮らしたりする人がいますが、赤ちゃんの発達という観点からいうとこれは良くありません。危険な物を置いておくのはいけませんが、赤ちゃんが「あれ何かな?」と触ってみたくなるような物がある魅力的な環境づくりは大切です。

赤ちゃんが、「あれ何かな?」と見つめたり、手で触ってみたりする行動は「探索行動」といいます。危険がない限り、この探索行動をできるだけ自由にできるようにすることが、「自立心」「思考力の芽生え」を伸ばすためのすてきな環境づくりになります。

子どもが興味を持ちそうな物を置いておいてやるのです。たとえば、赤ちゃんの目の前で紙をクチャクチャクチャって丸めます。赤ちゃんはその様子を一生懸命見つめて、音も聞くでしょう。それで丸い球ができたら、ポイって赤ちゃんのそばに投げておく。そうすると赤ちゃんは一生懸命、それを手でつかもうとします。こういうのを10個くらい置いておくと1時間は遊んでいますよ。おもちゃになるわけですね。

「おもちゃ」「読み聞かせ」「外遊び」が知力体力を伸ばす

おもちゃは大事です。市販のものでも、手作りのものでもいいので、いろいろ用意してやりましょう。たとえば、食事の時にスプーンでコンコンとテーブルを叩いて音を楽しんでいるなら、太鼓や木琴を買ってやればいい。お母さんのパーカーのひもを一生懸命引っ張っていたら、ペットボトルに100円ショップで売っているプラスチック製のチェーンを入れて、引っ張り出すおもちゃを作ってやったらいい。この子は何をしたいのかな? 何を楽しんでいるのかな? って観察して、おもちゃを買ったり、作ったりしてみると、お父さん、お母さんも楽しいかもしれません。絵本もいろいろ買っておいて、興味を持ったら読んでやりましょう。「数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚」が育まれます。

そして、外に連れ出してやること。家の中にどんなにおもちゃや絵本を用意しても、街や自然の中で出合うバリエーションの豊かさにはかないません。人々の話し声、車の走行音、木の葉や花の色、鳥の鳴き声、等々。赤ちゃんが飽きることはありません。「自然との関わり・生命尊重」を学んでいくのです。

かわいいアジアの女の赤ちゃん
写真=iStock.com/BbenPhotographer
※写真はイメージです

走り回れるようになったら、思う存分外遊びをさせましょう。ここでも子どもが自分でやりたいと思うことを、本当に危ないとき以外は邪魔せず、共感的に見守る。すると、子どもは走り回ったり、遊具に登ったり、飛び降りたり、自分なりに挑戦して、「健康な心と体」を自分で育てていきます。

小学生くらいになったら、山登りやキャンプに連れていきましょう。大雨に降られて大変な思いをしたり、満天の星を眺めたりして、「スゲー」と圧倒されたりする。その時、子どもの中で、理屈を超えた「豊かな感性と表現」が育っているのです。