中国政府が普及を推し進める「デジタル人民元」とは何か。資産コンサルタントの方波見寧さんは「仮想通貨の一種で電子決済より手数料が格安という魅力があるが、利用者の消費行動や金融データが筒抜けになる可能性がある。それは日本も例外ではない」という――。

※本稿は、方波見寧『2030年すべてが加速する未来に備える投資法』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

男性の掌の上にはキラキラ輝くblockchainの文字
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ブロックチェーンの普及で中間業者は消滅する

エクスポネンシャル・テクノロジー企業として、GAFAMばかりを想定するのは安易な考え方です。「2030年すべてが加速する未来」までにGAFAMを脅かす勢力が登場する可能性が十分にあります。おそらくは金融分野からの巨大な津波によるものでしょう。その正体とはブロックチェーン&仮想通貨(資産)です。

ブロックチェーンとは、世界中の数千台のコンピューターが監視し合う、改ざんが不可能なインターネット上の台帳で最高位の信用を担保してくれます。また、あらゆる契約形態は、ブロックチェーン上で行われるスマートコントラクトに代替することが可能です。

住宅購入時に不動産業者を使うのは、売り手が物件を保有しているという信用を担保させるためであり、物件の6%が手数料として消え失せます。不動産業者のような中間業者はアメリカの労働者の中の1000万人を占めていますが、ブロックチェーンというエクスポネンシャル・テクノロジーが稼働すれば、買い手と売り手は6%の手数料を支払う必要がなくなる半面、すべての中間業者は消滅します。

そして、ブロックチェーンは仮想通貨を生み出しますが、仮想通貨では送金手数料がタダに等しく、1000分の1円のようなマイクロペイメントが可能です。しかも、銀行口座とは関係なく発行できます。