返済シミュレーションを「手取り」でやっているか

実際に私達がやりくりするのは額面の金額でなく、「手取り」です。購入したのがマンションであれば、毎月のローンに加えて修繕積立金や管理費がかかりますし、一戸建てでもメンテナンスのお金は積み立てておく必要があり、いずれの場合も固定資産税は必ず発生します。

毎月固定でかかってくるお金は決してローンだけではないし、ましてそれが額面の年収で割り出された概算だった場合には、余計に注意が必要なのです。

さらに2022年度の税制改正で住宅ローン減税の制度が変更されます。

これまでは、年末時点のローン残高のうち1%を基本的には所得税から10年間控除することになっていました(所得税から控除しきれなかった金額が住民税から控除される場合もある)。今後はその控除幅が0.7%に引き下げられる予定です(新築の控除期間は13年に延長)。また、住宅ローン減税の恩恵を受けられる所得制限も厳しくなり、所得金額3000万円以下から2000万円以下と、大きく切り下げられます。

電卓を使って計算している人
写真=iStock.com/wutwhanfoto
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マイホームは「一生に一度の買い物」ではなくなりつつある

人生100年時代、安田さんのように予期せぬライフプランの変更を迫られる可能性は、誰にでもありえること。今やマイホームは「一生に一度の買い物」でなく、「一生に何度も買い換えるもの」に変わりつつあるのかもしれません。

私のお客さまでも実際に買い換えした方はたくさんいらっしゃいますが、その時に大切なのは、「売れる家」「値崩れを起こしづらい家」を選ぶことです。

正直、安田さんファミリーのお家はその点で厳しい物件だと感じました。コロナ禍でリモートワークが増えた影響から郊外人気が高まったとはいえ、最寄りの駅まで歩いて20分、駅も各駅しか停まらないマイナーな地域です。開発予定などがあれば変わってくるかもしれませんが、現状、価格が下がることはあっても、上がる要素は乏しいと感じます。

23区でも千代田区、文京区といった値上がりを続ける場所もあれば、水害に弱い地区は資産価値が上がらないといった例も。

頭金の準備と共に、「マイホームは一生住み続けるもの」という固定観念を捨て、「状況に応じて住み替えられる家」探しもぜひ、心に留めていただきたいです。

(構成=小泉なつみ)
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